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暗殺少女メィリィ ~ ヘクトール部隊との死闘

 


何とメィリィは、

突撃銃を構える兵士達のど真ん中めがけて、屋根から飛び降りた!

 「ハァァァッ!!」


一度上を向いた位置から、落下する目標に向かっては銃の照準を合わせにくい。

それだけではない。

敵のど真ん中に落ちる事によって、

同士討ちの危険から、兵士達が発砲する怖れがなくなるからだ。

そして着地と同時に青竜刀をヘリの羽根のように旋回!

肉を切り裂く手応えに満足せず、

メィリィはそのまま猫のようにテーブルの陰を移動する。


素早いっ!

時にはテーブルの上すら足場に使うが、

驚くべきは彼女の移動術だ。

股関節を180度開いてるのではないかと思わせるほど、歩幅が大きい。

恐らく箭疾歩と呼ばれる、

気合いと共に移動する技の応用だろう。

また、くねくねと向きを頻繁に変えるためにカラダは常に傾いたままだ。

移動の最中、

テーブルの上にカラダがあるにも関わらず、

彼女の床からの高さは、普段の身長の高さと大差ないであろう。

そして時には一歩で数メートルも移動するのだ。

 

・・・しかしメィリィも、

鍛え抜かれた軍隊と戦うのはさすがに初めてだ。

さらに相手が悪い。

相手は騎士団の中でも、

拳法や接近戦を得意とする亜細亜支部のヘクトール部隊なのである。

虚をついて敵を翻弄するのなら、

まだガワンのアキレウス部隊を相手にした方が、相性が良かったはずである。

・・・既にメィリィの刃は、

多くの兵の皮膚や肉を切り裂いている。

だが、いまだ戦闘不能にまで陥れた敵はいない。

兵士達は、

メィリィの旋風のような攻撃に戸惑いつつも、

突撃銃を槍代わりになんとか応戦してるのだ。

 (やるねェ、こいつら~・・・。)


長引けば彼女は不利である。

息が上がり始めたのか、

メィリィの動きにかげりが感じ始めてきた。

それを見逃す兵士達でもない。

近場の兵士が一斉に彼女に向かって襲い掛かる!

だが・・・。


 「いらっしゃいマセ~!」

 

・・・それが彼女のトラップなのだ。

メィリィは腕を交差させ、

青竜刀を振り回す仕草をした。

ところが、腕を交差したのは隠していた投げナイフを掴むため!

次の瞬間、目にも留まらぬナイフが二人の兵士の額を割った!

それまで主に横から飛んでくる刃に幻惑され、

いきなり正面からの飛び道具を想定できなかったのだ。

・・・ついにヘクトール部隊からも死者が出てしまう。

ここへきて、ようやく彼らもメィリィの実力を完全に理解し始めた。

さりげなく移動したメィリィは、

兵士を威嚇しながら、

彼らがこちらを窺う隙に死体の耳を刀で切り裂く。

・・・あとはどうやって逃げるかだが・・・、

はっきり言えばそっちのほうが難問だ。

兵士達がナイフを警戒し始めると、

一種のこう着状態に陥る。

投げナイフは相手のスキを狙わないと意味がない。

・・・そこへ李袞の低い声が響いた。

 


 「もう良い! 私が相手だ、

 6番隊は負傷者の手当てを!

 7から10番隊は周りを囲め。

 残りは管理棟に向かい、

 ガワン殿に助力せよ!

 ・・・ここは私が相手しよう・・・!」


ついにメィリィの相手は騎士団幹部・・・「忠節の騎士」李袞と相成った。

メィリィは彼をにらみつける。

 「素手でアタシとヤルつもり・・・?」


李袞は不敵に笑って、

調理場の近くにあった清掃用のデッキブラシを手に取った。

いくら冷静沈着を誇るメィリィも自分の目が信じられない。

 「・・・まさかそれで・・・?」

 「これで十分だろう?」


彼はブラシの握りを確かめ、

二、三回振り回すと、腰を落とし三体式と呼ばれる構えをとった。

彼の構えで一目でわかる・・・この男は武術家だ!

 「自己紹介させてもらうよ、

 美しいお嬢さん・・・、

 騎士団亜細亜支部支部長、李袞だ・・・!」

 「・・・ハォ! アタシはメィリィ、

 あの世への案内人ネ・・・!」

 



ちなみにメィリィに、「あなた中国人ですか?」と聞かれると不機嫌になります。

その訳はこの後。

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