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メァリ・ラブゥ ~ 騎士団上陸

 

 「全部隊、上陸!!」

重厚なマントをまとったガワンが号令をかけた。

機関銃を装備した幾艘もの小船が海岸に向かっていく。

既に騎士団も衛星写真を使って、島の施設の大まかな位置は把握していた。

船団本隊は島の裏手に回り退路を断ち、

精鋭部隊計60名が正面からの攻略。

先陣には最強の騎士ガワンが随行し、

後陣の李袞が殿を務める。

もちろん戦況によっては、

追加の兵を補充するため、

沖合いには更なる兵士が待機している。

これで一体、メリー候補生サイドにいかなる望みがあるだろう?


そして管理棟では瞑想中のカーリーが、

その大きな目を開き最後の指令を下す。


 「騎士団が行動を開始しました!

 受講生達に合図を!

 ・・・そして我らはここを離れ、

 戦いの行方を見守りましょう・・・!」

 

カーリーの能力・・・その名の通り、

彼女は暗黒神に仕える黒の巫女・・・、

科学常識を踏み越えた精神感応能力こそが、

黒十字団内において、

その地位を不動のものにさせている。

他人の心を覗くテレパス・・・

任意の地での出来事を、

その場で見たかのように脳内で再現できる透視能力・・・、

そして漠然とであるが、

時として未来に起こる映像をも認知できる予知能力・・・、

それが黒十字団党首の片腕カーリーの正体なのだ。


・・・実際騎士団も、

この「黒い神殿」のカーリーが、

この島の運営に関わっている事までは把握できていたが、

彼女の能力までは知る術を持っていなかった。

・・・もちろん彼女や黒十字団党首の、

本当の目的さえも・・・。

 


ヘクトール部隊は海岸に一時待機し、

アキレウス部隊は、

受講生達の寝泊りしているバンガローを急襲した。

三人一組の最初のチームが、

一棟の部屋の前に到着し、

ドアノブをゆっくり開けようと試みる。

開けた瞬間、残りの二人が突っ込む気だ。

・・・だが当然、鍵が掛かっている。

三人はアイコンタクトを行った後、

一気にドアをぶち破った!!

突然、彼らを爆音と炎が呑み込む!!

ドアを開けたときに爆発を起こすよう、

ナターシャ達がトラップを仕掛けていたのだ。


 「救出しろ!」

ガワンは号令をかけると、

他の部隊にも待ったをかけた。

当然だ、他の部屋にも仕掛けられているかもしれない。


 「ガワン様、いかがいたしますか!?」

 「・・・どうやら、我らの襲撃に気づいてたようだな・・・、

 しかし、いつの段階で・・・?

 あんな手の込んだトラップを仕掛けられるほど時間的余裕があったのか?

 ・・・まあいい・・・、

 グレネードランチャーを持て!

 残りの部屋全てに打ち込んでやるのだ!!」

 「ハッ!!」

 

 

そばに李袞がいたら止めたかもしれない。

受講生には手荒な真似はしないように言われているのだ。

ガワンも騎士のはしくれだが、

抵抗するものには容赦しない。

この砲撃で命を落としたとしても自業自得だと認識する。

それが、最強の称号を与えられたガワンという男なのだ。

すぐさま轟音と共に、

何発もの砲弾が打ち込まれる。

最初の部屋と同じように、爆発を仕掛けた部屋は誘爆し、

さらなる火災を引き起こす。

昨日まで多くの受講生達が寝泊りしていたバンガローは、あっという間に炎に包まれていった・・・。


 「きゃああああッ!!」

いまだグレネードランチャーを打ち込まれていない部屋から、

一人の女の子が転がり出てきた。

・・・Tシャツと下着だけの姿のラブゥだ・・・!

 


 「ム? 攻撃を止めろ!

 デルタチーム、あの娘を拘束せよ!」


作戦に一切参加してないラブゥは、そのまま自室で待機していたのだ。 

だが彼女は眠っていたのか、どう見ても寝起きの格好である。

それこそみっとも無く、手には古着のジーンズと、人形マーヤを抱えているだけだ。

ラブゥは慌てて、

ぎこちない動作でジーンズをはこうと必死だ。

もちろん、そんな状態でアキレウス部隊の兵から逃れ得るわけもない。

 「ストォップ!! 英語がわかるか!? ドンムーブだ!!」


兵達に背中を見せていたラブゥは、

恥ずかしそうにしゃがみこんでしまった。

 「あ、ああ! 助けて!

 私は抵抗しない!」

まだジーンズを履けないのか、

スポーティなコットンの下着丸出しだ。

兵士達は一人が突撃銃を構え、

他の二人がラブゥのカラダを抑えようとする。

 「お願いっ! 乱暴しないでッ

 ・・・せめてジーンズを履かせて!!」

無理やり立たせようとした所、ラブゥは暴れたが、

兵士達もこのままでは彼女を歩かせる事が出来ないので、已む無く一時的にカラダを放す。

当然、高潔なる騎士団の兵達にやましい心はないが、

ラブゥのプロポーションには唾を呑み込む事を禁じえない。

 

15才の健康的な肉体に、

弾むような胸と柔らかそうなヒップを露わにしているのだ。

相手が下種な連中なら、

このまラブゥはレイプされていたであろう。

なんとかジーンズを履き終えたラブゥに兵士は質問を浴びせる。

 「お前の名は!?

 ここには何人がいる?

 このバンガローにいたのはお前だけなのか!?」


ラブゥはうつむいたまま、ゆっくりと答えた。

 「あ、あ・・・、私の名はラブゥ・・・。

 私は団体行動が苦手なんでこのまま隠れていようと残ってた、

 この島の管理者は4人・・・

 今、どこにいるかは知らないけど、

 いつもはこの奥の管理棟にいる・・・。」

 「良し、それであんなトラップを作ったのはお前か!?」

 「わ、私じゃない!

 たぶん、他の受講生達だ、

 人数は私を除いて10人だけ・・・!

 あんた達を殺せば試験に合格だってことらしいけど、

 私にはそんな恐ろしい事できないし・・・。」


ラブゥは他の受講生達がどうなろうが気にもしない。

よって作戦そのものを明かす事にも何の躊躇もない。

もっとも、

最後の言葉だけは嘘である・・・。

 


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