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6日目の2 宣告

今回は騎士団の新キャラ、ガワンと李袞も出てきます。

なお、李袞は水滸伝に出てくる名前ですが気にしなくていいです。

深い意味はありません。


 

 「・・・みなさん、

 今朝は本当に申し訳ありませんでした、

 心からお詫びいたします。」


受講生達を最初の教室に集めて、

黒衣のカーリーはルキ、マルコを従えて受講生達に頭を下げる。

 「それで、皆さんにはこれまで、

 最初から多くの情報を与えませんでしたので、

 いろいろ不満を感じてらっしゃったことでしょう、

 本来、試験内容は明日発表し、

 明後日にはみなさんを選別に篩い分けようと考えていたのですが、

 ここにきて、

 私たちにも不測の事態が起きました。

 そのため試験内容を今、この場で発表します。」


受講生達の間にどよめきが起こる・・・。

 「まず、・・・皆さんはすでに、

 俗世間とのつながりを捨てることは当然、

 何かあれば、警察や公安・・・

 ときにはマフィアなどに狙われる覚悟もできていますね?

 実は、この島で行われている事を・・・、

 世界の秘密警察を自認するある集団に発見されてしまいました。」


再び受講生達は騒ぎ出した・・・。

ナターシャとメィリィも顔を見合わせる。

 

 

 「皆さんには、

 あらゆる通信手段の持ち込みを禁止してもらいました・・・。

 実際、この島と外界を結ぶ通信手段は、

 管理棟のネロが管轄する情報室のみだったのです。

 いかにして、彼らがここを把握したかは今も不明ですが、

 彼らが、この島で誕生する『メリー』達を抹殺する目的でやってくる事実に変わりはありません。

 そこで、

 みなさんには彼ら・・・

 キリスト教系原理主義者『騎士団』のソルジャー達と戦っていただきます!」


メィリィは、

ナターシャやシェリーの顔から血の気が引いていくのがはっきりとわかった。

 「えと、騎士団ってナニか・・・?」

 「あたしもはっきりとは知らないが、

 ・・・中世の宗教的ギルドに端を発する戦闘集団とか、

 世界各地に拠点を持ち、

 非合法な活動にも手を染めていると聞いた・・・。」


シェリーにいたっては、

あまりの衝撃の事実に耐えられないらしい。

 「ま、待って下さい!

 かっ彼らと戦うんですか!?」

 「正面からあたる必要はありません・・・。

 あなた達の得意な分野に持ち込んでください。

 戦闘が得意なものは戦いを・・・

 暗殺や隠密が得意な方は不意をついてもいい、

 トラップや罠を仕掛けるのも結構です。

 彼らの電子兵器を破壊するのも有効でしょう。」

 


カーリーは説明を続ける。

 「・・・そして当然、彼らは組織である以上、隊を組んでくると思います。

 従ってあなたがたも、

 一人で立ち向かうか、または他の者と協力するかは自由です。

 ただし、必ず一人につき相手一人を殺害していただきます。

 遺体の一部・・・

 頭でも手首でも耳でも結構です、

 持ち帰ってきてください。

 同じ死体から別の部分を持ち帰っても、

 DNAですぐに判りますので不正はできません。

 私たちは彼らがやってくる直前まで、

 あなた達のサポート・・・戦術面や技の相談に協力します。

 ですが私たちは戦闘に入った場合、

 一切あなたがたのサポートはいたしません。

 自分達の頭脳とスキルで生き延びてください。

 管理棟の設備を使用するのは自由です。

 今日の午後をもって、

 あなた達に自由に使えるようにしておきますから。」

 


 「メリーへの試験合格基準は・・・、

 一人一体以上の殺害・・・

 そして私たちが戦闘終了を見極めた時まで、

 彼らに捕まらず生き残っている事・・・以上です・・・!

 一人でも目標を始末に成功していたなら、

 私たちはあなたがたがどこにいても必ず迎えに行きます。

 逆に隠れて全く目的を遂行する意図が見られない場合は、

 私たちはその人間を見捨てます。

 もう一度、重ねて言います。

 彼らを壊滅するのが目的ではありません、

 あなた達の能力が、

 メリーとして相応しいのかどうかを試すのが試験です。

 彼らの上陸時間は明日の未明と思われます。

 今日一日は、

 明日の実戦への準備に当ててください、

 以上です。」


たったそれだけ!?

シェリーはさらに食い下がる。

 「え、あ、あの相手のデータとかは公表してくれるんですか? 

 人数とか、部隊の詳細とか、

 火力とかの装備なども・・・!?」

 「私たちでわかる範囲は教えて差し上げますが・・・

 相手も、私たちに丸わかりになるようにはしないと思いますよ。

 今、言えるのは、

 彼らも世間の目に触れるのは回避しようと思っているはずなので、

 極端な火力や、爆発物、ABC兵器などは使用しないと思いますが、保証はできません。

 あなたがたのアドバンテージとしては、

 こちらで彼らの襲撃に気づいてる事を、彼らは知らない・・・

 それだけでしょうかね・・・?」

 


・・・そしてこちらは、

アキレウス船団旗艦司令室。

「剛勇の騎士」ガワンは、

無線で後続の李袞りこんと通信を行っていた。

ちなみに、編成されている部隊名には、

その地域に応じた艦隊や戦力が、一つのチームとして古代の英雄名がつけられている。


現在、物語で明らかになっている支部長の下には、

例えば、極東の日浦義純が指揮するオデュッセウス部隊、

南欧支部ケイのペルセウス部隊、

北欧のライラックの下にはテーセウス部隊、と、

数え上げればきりがないが、

それこそ特殊部隊並みの訓練を受けた兵士達が控えているのである。

もちろん彼らには、

全員表の顔があるため、よほどの事でもなければ全員召集される事はない。

各自、表の職業の休養日に、

訓練に参加したり集会場所に集まって、

それぞれ、自らの技能を研鑽している。

万一、表の仕事に影響が出て、

雇用問題に発展しそうな場合には、

騎士団がそれなりに顔の利く仕事を斡旋する、

そんな仕組みになっている。

 

 「それで李袞、

 上陸は明日の日の出一時間前で問題ないな?」

 『大丈夫です、

 編成も3人一組のチームで個別にあたっていけば、

 難しくないミッションだと思います。

 ・・・ですが・・・。』

 「・・・なんだ?」

 『ガワン殿はまた、

 一人で切り込むつもりではないですか?』

 「フッ、心配いらん、

 私は先頭集団の後陣にいるさ、

 ・・・ある程度敵の反応を見てから、本拠地を叩く。

 ・・・先日の打ち合わせ通り、

 ヘクトール部隊はこちらが討ち漏らした奴らを一人残らず捕まえてくれ。」

 『無理なさらないで下さい、

 ・・・まだ奴らがどんな守りを敷いているかも定かではないのですから。

 それにマーガレットお嬢様のお言葉もありますし・・・。』

 「ああ、『メリー』という女性たちに気をつけろって事だな?

 判ってるとも、

 それにローズ・メリーという少女は、

 知り合いだから手荒にするなってことだろう?」

 『はい・・・いえ、それはそうなのですが、

 もしかすると、常識では考えられない能力を彼女達が持っているかも・・・。』

 「フッ、常識では考えられない能力?

 それは誰のことだ?

 私の異名を忘れたか、李袞? 」

 『なるほど・・・そうですね、

 失礼いたしました・・・。』

 


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