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4日目の3 ブードゥープリンセス

眠い・・・ハッ?

さっきまで時計は12時だったのに?

 

ローズとシェリーは、

ラブゥの泊まっている部屋に向かう。

場所はローズが覚えていた。

シェリーの期待と不安を他所に、

ローズは遠慮無しにラブゥの部屋の玄関を叩く。

すぐに、中から返事が聞こえた。


 「・・・誰?」

 「あたしー、ローズー、

 ラブゥに会いたいって人がいるのー。」

ラブゥも考える時間が欲しかったのか、

少し沈黙の時間が流れた後に、ようやく扉がゆっくり開く。


 「・・・。」

 「こんばんわー、こちらがシェリー、

 お人形に興味があるんだってぇー。」


怪訝そうな顔をするラブゥに、

シェリーは礼儀正しくお辞儀をする。

 「夜分遅くにごめんなさい、

 少しお聞きしたいことがありまして・・・。」


ラブゥは胸から上を扉から出しているだけで、

ローズ達を部屋に入れるそぶりは見せない。

よっぽど、他人を中には入れたくないようだ。

 「なに・・・?」

(うわ、これは話づらそうだ!)

 

しかし、シェリーもここまで来ては後に引けない。

 「じ、実はあなたがもし、

 人形遣いなら・・・なんですけど、その、

 人形に勝手に歩かせたり、

 言葉を喋らすなんてできるものなのかしら・・・?」


戸口にランプはついてるものの、

夜なので、ラブゥの白い部分の多い目と、

白のTシャツがよく目立つ。

ラブゥの目は完全に

「ナニを言ってるんだ、コイツは!?」

と、変なものを見るかのような目つきだ。

(あ~、だから来たくなかった~)

と恥ずかしさでいっぱいになるが、

ヤケになって、シェリーは自分の姉の事件を告白した。

さすがにローズも、その内容に驚いた。



 「・・・ということなんですの。

 それで、何か手がかりが掴めないかと思って・・・。」

ラブゥは話を黙って聞いていたが、

ようやく得心が行ったようだ。

 「話はわかった、

 ・・・確かに私は人形遣い・・・

 でもあなたの力にはなれないと思う。

 たぶんだけど、

 あなたのお姉さんはドルイド系の魔術に犠牲にされたと思う。」

 「えっ? いくつかの流派があるのですか!?」

 「もちろん、当然、他の事はわからない。

 ・・・私はブードゥーだから・・・。」

 

思わず後ずさるシェリー。

 「ブ、ブードゥー教の方なんですか!?」

その反応を見てラブゥは気分を害したようだ・・・。

 「・・・だから何?

 ブードゥだから近寄りたくないって・・・?」

 「あ、ごめんなさい、そんなつもりじゃ・・・。」

 「だからイヤなんだ・・・、

 悪魔崇拝かナンかだと思ってるんでしょ?

 ヨーロッパの魔術と大差ないよ、

 白魔術もあれば黒魔術もある。

 恋愛成就のおまじないから、

 悪霊祓い、・・・病気の治療もある・・・。」

 「ごめんなさい、

 気分を害されたのなら謝ります。

 ・・・そちらの知識はないもので・・・。

 で、では、私の姉のようなケースは・・・?」

 「私たちの術にはない・・・。

 悪いけど力にはなれない。

 人探しの占いなら有料で引き受けてもいいけど、

 もう、死んでるんでしょ?

 どうにもならないよ・・・。」


シェリーはすっかり落ち込んでしまった・・・。

やはり、メリー試験に合格するしか道はないらしい。

 

 「わかりました・・・。

 お騒がせしてごめんなさい・・・。」

シェリーの後姿を確認した後、

ラブゥはローズの視線に気づいた。

 「・・・なに?」

 「腹話術とかマリオネットとかはできるの!?」

 「・・・。」


またもやラブゥは、

「ナニ言ってんだ、こいつは」という表情を見せる。

ローズの目はキラキラしたままだ。

 「いや、私はそういう人形遣いじゃないから・・・、

 ま、腹話術なら、なんとか・・・。」

 「すっごぉい、今度見せてね・・・

 あ、シェリーが行っちゃう!

 ラブゥ! また明日ねぇー!?」

 「ああ、おやすみ・・・。」

そのまま、ローズはシェリーを追って駆け出し始めた。

 「しぇーりーぃ、待ってーぇぇぇ!」


二人の姿が見えなくなるまで、

ラブゥは彼女達の後姿を見続けていた。

多少、興味を持ったらしい・・・。

 「変なやつ・・・。」

 

ラブゥは嘘をついてます・・・。


4日目終了。

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