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挿入話 遠い日の思い出 ~ 3日目の1

遅れてすいません。


眠くて意識を失ってました。

 

それは遠い日の出来事。

忘れられない一つの後継。

昨日と同じ姿の毎日が、突然終わりを迎えたあの日。




可愛いローズのパパとママは

二人仲良くおねんねしています。


朝日が昇ったので

ローズはパパとママを起こしに行きました。


幼いローズは二人を揺すっみたのだけど

ねぇ、起きて? お日様、眩しいよ?

                     

パパとママは起きません。

ベッドの下には血が溜まっています。

                                   

二人が可愛いローズに、

「おはよう」を言う事はもうできません。


ローズが布団をめくると

パパとママのカラダは

半分ずつしか残っていなかったのですから。


====================



 「みなさん、おはようございます。

 昨日お話したように、

 今日は過去のいろいろなメリーの活躍例を紹介しますが、

 ・・・まずその前に昨晩の出来事を説明させてもらいます。」

毎度カーリーの話し振りは穏やかだが、

聞く方はいつも緊張と真剣さを要求される。

・・・眠気に襲われないのはいいことだろうが・・・。

殺されたグェンの死の話は、

メィリィたちが昨夜、カーリーから聞いたものとほとんど大差のない説明だった。

何人かの受講生が鋭い質問を投げたのだが、

相変わらず糠に釘の反応だ。

結局すぐに普通の講義が始まる。

・・・今回は特にハプニングはない。

平和に午前中の部が終了した。

 「それでは午後なんですが、

 別室で個人面談をしたいと思います。

 昨日、皆さんに書いてもらったアンケートや適性試験の結果を元に、

 一人一人、

 今後の指標を相談していきたいのです。

 そして、それを元に今後・・・

 明日の午後からの実習、

 追跡術や暗殺術、

 情報操作などのコースに分かれてもらいますので。

 午後はこの部屋で待機していてください。

 一人ずつお呼びします。

 それではまた後ほど。」

 


 「なぁるほどね、

 全員が同じ修練をするのでもないわけだ。」

こちらはローズ達四人組、

お昼時に年長のナターシャが解説を行う。

 「どうなるんだろうな?

 それぞれの得意スキルを伸ばすのか、

 それとも苦手分野の最低限の行動が出来るようにするのか?」

 「私たちの意志を確認させるための面談かしら?」 

と、これはシェリー。

4人全員が席について、

さぁ食事を、

というところで、不意に後ろから涼しげな声が掛かった。

 「お食事中ごめんなさいね、

 よろしいかしら?」

いきなりカーリーが現われた。

 「は、はい!?」

慌ててシェリーが対応するが、

カーリーは申し訳なさそうに「どうぞそのまま」とジェスチャーを示す。

 


 

 「緊張しなくて結構ですよ。

 えーと、午後の面談の一番手、

 シェリーさんに受けてもらおうと思って。

 時間になったら管理棟にいらっしゃってもらえるかしら?

 それと、

 終わったら自由時間ということにしますから、

 島を見学なさっても良いですよ。」

 「あ、は、はい、わかりました!」

カーリーはニッコリ笑ってすぐに立ち去った。

 「はぁ~、緊張しなくていいって言ったって・・・

 一対一の面談でしょうか?」

 「シェリー、緊張してるの?」

 「・・・ローズさんは気楽そうですね? うらやましいですわ。」

勿論、皮肉も混じってるが本音でもある。

ローズは気にせずランチのロールキャベツにかぶりついた。


 「・・・それで。」

 「は、はい!」

早速面談は始まる。

あまりシェリーは食事が咽喉に通らなかったようだ。

やむを得ず紅茶を飲み干したが、

途中でトイレに行きたくなったらどうしよう?

 


 「シェリーさん、

 あなたを一番手にしたのは、

 私たちへの応募時の質問事項と、

 昨日の試験の内容を拝見させてもらって・・・、

 何というのかしら?

 あなたの『メリー』へのイメージというか、

 具体的にどんなメリーを目指すのか、

 そこがぼやけているように感じるのですよ。

 はっきり言って、

 あなたは何を目標になさっているのかしら?

 なるべく早めにそこはクリアーにしたいのです。」

初っ端からきつい質問が来た。

シェリーにとって、

一番説明しにくい部分だからこそ、

はっきりと文章にできなかったのだ。

 「あ・・・あの、えーと、

 言わないと・・・ダメですよね・・・?」

 「いいとかダメとかではなくて、

 私たちの役割は、

 あなたのお手伝いをすることです。

 その為には私たちを信じて・・・

 あらあら、さすがに白々しいですわね?

 私たちをどうぞ、

 うまく利用なさってくださいね。

 ・・・こう言えば答えやすいかしら?」

 

確かにクールさを売り物に・・・

いや、クールであるように振舞いたいシェリーは、

他人を利用する事が自分のこれまでの人生のスタイルである。

他人を頼る事も頼られる事も苦手だし、

自分の内面をさらけ出すのは恥ずべき行為だと考えていた。

・・・昨晩のように、

動揺することがあると、

ついつい弱い自分が出てくるのだが。

 「あ、はい、そうですね・・・

 ただ、突飛な事もあるので・・・。」

 「構いませんよ、

 みんな突飛じゃないですか?

 私たちは人が簡単に死んでいく世界に住んでいるのです。

 大抵の事では驚きませんよ。」

相変わらず恐ろしい事をさらっと言う。

だが、シェリーの場合は、

メガネをかけてわざと理知的なキャラを作っている。

それなのに自分の動機は、

ややともすると、メルヘンチックすぎて笑われるのではないかと思う部分もあったのである。

 


シェリーは顔を真っ赤にしながら、

 「じ、実は・・・。」

と、自分がここに来たわけを話した。

昨晩ナターシャに語った内容でもある。

 「午前の話では、過去のメリーとは、

 セイレーンやフラウ・ホルレ、ベルヒト、セドナ、リルム、などの、

 妖魔系のお話が多かったですよね?

 あ、ブラッディ・メアリーは霊体か、

 そ、その、

 人形のメリーの伝説はないのでしょうか・・・?」

カーリーは、メガネ越しに自分を窺うシェリーの目をじっと見つめた。

シェリーはシェリーで、

恥ずかしくて下を向いてしまう。

 「シェリーさん、気になさらないで?

 昨日も言いましたけど、ここへ来たからって、

 必ずしも今後、

 人を殺さねばならないわけじゃありませんし、

 別に、恥ずかしがる事でもないですよ。

 ・・・ただここにいらっしゃる方は、

 みなさん、人間ですからね、

 人形の話をする必要はないと思って、

 講義内容から省いたのも事実なのですよ。」

シェリーは顔を上げた。

・・・不思議な言い方である。

まるで人間以外の存在が、

普通に存在でもしているかのような言い方だ。

 


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