だいじゅうはちわ 惨劇の館・・・
キジに蹴られたまま、
あーまーじゃっくはまだ立てません。
しかし、
確かに腕の蛇腹部分は強度が弱そうで、
キジのクチバシでの攻撃なら
切り刻む事ができるかもしれません。
すぐさま、
あーまーじゃっくは腕を戻し始めました!!
うりぃのカラダごと引きずられます!
「きっ、キジィ! はよぉ・・・!」
「う、うわわわわっ!
エイッ! エイッ!!」
ビッ、ビリビリビリィッ!!
鋭いキジのクチバシは、
その吸血鬼パワーも相まって、
凶悪な刃物と化し、目的対象物を切り裂きましたっ・・・!
うん? 切り裂いた?
途端に、
下半身に自由を取り戻したうりぃも違和感を感じます。
「・・・き、キジィ、おんどれ、
いま何を切り裂いた・・・?」
どうやら、キジさん、
また距離感を見誤ったようです・・・。
ああ、うりぃのもんぺが、
ズタズタに切り裂かれて、
下半身が・・・すっぽんぽんに・・・!
大変です。
このままではうりぃがお嫁にいけなくなっちゃいます。
「うががががががががががっがぁっ!!
なんっちゅうことをををををををおをっ!!」
世界最恐の和製ゴスロリ少女うりぃ・めりーに、
これまでにない最大の試練が訪れたといえましょう。
もんぺは、
完全に脱げたわけではありませんので、
みっともなく足を引きずりながら、
必死にこの場を離れるのみです。
もちろん、一番大事なところは、
着物の裾が隠してくれていますが、
少しでもめくれちゃったらアウトです。
いえ、
やっぱりこんな状態を、
他人様に見られるだけでもまずいでしょう。
けれども、背に腹は代えられません。
あーまーじゃっくは、
いまだもんぺの腰紐を掴んだままなのです。
もう、下半身は・・・
いえ、もんぺは諦めるしかありません・・・。
半狂乱になったうりぃは、
大慌てでもんぺを脱ぎさると、
顔を真っ赤に紅潮させて、
キジさんに怒鳴りつけます。
「いいいいいくでぇええぇっ!!
はよおこんかぁいいいいいっ!!」
「はっ、はい、いま行きますど!!」
ところが、
ここでまた周辺に異変が・・・。
なんと、
辺りがにわかに騒がしくなってきたのです・・・!
ここまで大騒ぎして、
誰も集まってこなかったのが不思議なくらいです。
まぁ、
作者も忘れてたんだから仕方ありませんが。
お屋敷に控えていた他のお侍さんたちが、
主人の安否を確かめに戻ってきていたのです!
・・・ええと・・・、
そうそう、
いぬが屋敷の外に、
彼らをおびき出していたんでしたっけね。
暗がりとはいえ、
うりぃの行く手に、
大勢のお侍さんたちがわらわら現れ始めました!!
「殿! ・・・殿はご無事か!!
む!? な、なにゆえこんなところへ童子が・・・!?」
「ん? おなごのようであるぞ?
お・・・おぬし着物の下は・・・」
なんてことでしょう、
うりぃの背後についてきていた焼き鳥・・・
いえ、生命力の炎に包まれていたきじさんが、
うりぃの姿を照らしてしまっていたのです!!
「ンギィィィィィィィッ!!」
ついにうりぃは、
抱えていたいぬをほっぽりだしました!
そして代わりに、
その小さな手には、呪われた血みどろの草刈鎌が・・・
いえ、
うりぃは懐からもう一本の鎌を取り出します!!
必殺の二刀鎌です!!
呆気にとられるお侍さんたちに向かって、
恐怖の突進!!
「こっち見んな、
お前らあああああああああっ!!」
ズバ! ズバ!
ズバババ! ズバズバズバズババッ!!
あああああ、
お侍さんたち、かわいそうに・・・。
子供だと油断しすぎていたために、
みんな、うりぃに切り刻まれてしまったのです・・・。