だいじゅうろくわ 物語を投げ出している最中に閃いた展開
このアイデアが浮かばなければずっとグダグダなままでした。
「あ・・・あああああっ?」
その場にいる、
加害者・被害者・第三者、
全ての人間(?)が目を疑います。
けれど、
キジさんは条件反射で目の前のご馳走を・・・
ジュルルルルルルッ!!
「あっ、 あっ、 あ ・・・ 」
この悲鳴にもならない呻き声はいぬのものです。
そう、
キジさんはついつい、
仲間のいぬの血液を吸い取ってしまったのです!
・・・みるみる干乾びていくいぬのカラダ・・・。
そしてようやくうりぃが我に返りました。
「おっ、おい、コラ、キジィッ!!
おんどれ、
ええかげんにせんか、コラァッ!!
いくら不死身のいぬでも、
そんだけ血を抜いたら逝ってまうどぉっ!!」
ああ、もしかしたら、
そうなのかもしれません、
何度瀕死の重傷を負っても、
しばらくするとケロリと治ってしまういぬの秘密は、
その血液か体液にあるのかもしれません。
「や・・・あ、姐さん、
こんどばかひはやばひかも、
ひれませんですぅ・・・ぐふっ 」
既に、いぬのめんたまの焦点は、
どこか遠いところを彷徨ってます。
すると、
あーまーじゃっくはいぬの体から興味を失い、
畳の上にドサッ・・・
といぬの体を落としてしまいました。
そして、
彼の注意は、別の生き物に向いたのです。
なぜなら、
そこに信じられない事態が起きていたからです・・・!
「・・・滾る・・・漲る・・・
こみ上げてきましたんどぉぉぉぉぉっ!!」
キジさんのカラダが金色の光に包まれていきます!!
まるで焼き鳥・・・
いえ、火の鳥のようです!!
キジさんのカラダが1.5倍(当社比)に膨れ上がっていきます!!
「キ・・・キジィ?
お、おんどれ、いぬの血を吸って・・・?」
そうです、
吸血鬼・・・いえ、
吸血雉は人間の血を吸って、
永遠の若さと魔物の力を得ると言われています。
それを、
不死身の力を持ついぬの血液を吸い取ったというのなら、
いまのキジさんのパワーは、
一体どれほどのものだと言うのでしょう!!
「お・・・お前、我を蹴ろうとしているな・・・
だ、だが、たかが鳥の蹴りなど・・・。」
しゃべりかけているあーまーじゃっくに向かって、
キジさんはジャンプ一番、
強烈なキックを浴びせかけました!
もちろん、
あーまーじゃっくは攻撃を読んでいるので、
難なくガードしm・・・
ドッグワシャーンッ!!
誰の目にも信じられない現象が起きました。
鋼鉄の塊であるはずのあーまーじゃっくが、
大きく羽根を広げたキジさんの蹴り一発で吹き飛ばされ、
襖を破り、
廊下の壁へと叩きつけられたのです!!
まさしく、超人・・・
いえ、鳥人・・・
じゃなくて・・・ええい、紛らわしい!!
超鳥状態のスーパーモンスターと言えましょう!
「き・・・キジィ、
おんどれ、そ、そんな隠しだまを持っとったんやな・・・。
こら、いけるで!!
一気に逆転や!!」
「姐さま、かしこまりましたんどー!!」
形勢逆転・・・とはいえ、
うりぃたちも、決定的有利とまでは言えない状況です。
いぬは瀕死のボロ雑巾状態、
うりぃは鉄のあーまーじゃっくに攻撃する術がありません。
そして、
今のキジさんですら、
そのクチバシが鉄のボディに食い込まない以上、
ただの肉弾攻撃であーまーじゃっくと戦うしかないのです。
うりぃはマグロ状態のいぬを担ぎ上げます。
10歳程度の体格しかないうりぃが、
中型犬設定のいぬを抱えあげるのは、
なんとかギリギリといったところでしょう。
良かったですね、
シベリアンハスキーみたいな大型犬の設定にしていなくて。
「キジィ! 適当にどついたら、引き上げるんやで!
そいつを殺そう思おても無駄や!!」
「姐さま! イッツオーライですど!!」
なんでそこだけ英語なのかはわかりませんが、
とりあえずこの先の展開を見ましょう。
キジさんは、
鳥キックとクチバシ攻撃のコンビネーションで、
倒れこんでいるあーまーじゃっくを攻め立てます。
その隙に、うりぃたちは部屋を飛び出すわけですが、
廊下の暗がりに躍り出たときです!
「わ・・・我はアーマージャック、
エモノを の・・・逃すことなど・・・ない!」
動けないはずのあーまーじゃっくの目が光りました!
そしてほぼ同時に、彼の右手が・・・!!
あまりの予想外の動きに、
キジさんすら反応できません!
あーまーじゃっくの右手が、キジさんの脇をすり抜け、
まるでロケットパンチのように、
逃げるうりぃの背中に伸びていったのです!
「なんやぁっ!?」
次回、皆さま幼女はお好きですか?
いよいようりぃたんのさーびすたいむ!
「な・・・なにを!?」