だいじゅうごわ 受難はいつもいぬ
暴れるキジさんの小さい頭を、
うりぃは軽くチョップしました。
「じょうだんに決まっとろうが、アホが。」
キジさんは目をぱちくりします。
「あ・・・姐さま?」
「役に立とうが立つまいが、
ウチのピンチにかけつけてくれたお前を、
食うわけなかろ?」
続いて、いぬも、
へっへと舌を出して笑いながら、
キジさんを放します。
うりぃに専属で従っていた彼には、
うりぃの行動パターンは読めるのでしょう。
「あ・・・姐さまぁ・・・。」
「アホウ、めだま潤ましとる場合やないで!?
状況はいっこもよくなってないんや!
さっさと逃げる手段、考えんかい!!」
「とは・・・言ってもですね・・・。」
「くぇ~・・・。」
いぬもきじもいいアイデアは浮かびません、
「キジさん、
・・・例えばサルはここに来る予定なんて?」
こうなったら、
最後の下僕の登場もあるかと、いぬは期待します。
あまり仲はよくないんだけど、
この際、そんなことは言ってられません。
でも、現実は残酷です。
「あ・・・それは無理ですど!
なんでも娘さんが万引きしたの見つかって、
警察に補導されて大変らしいですど!」
「親子そろってアホか、
あいつらはぁあああああっ!!」
本当に現実は残酷ですね、
サルの娘さん更正できるのでしょうか?
もうこうなったら、
当初の予定通り特攻しかありません。
いぬは覚悟を決めます。
「・・・まったくあのエテ公は役にたちませんね、
キジさん、いっちょ、いきますよ・・・。」
「いぬさん、
いつでもオッケーですど!」
「すまんな、おまえら、
・・・後で骨は拾ったるさかいにな!」
ようやく全員の意思がひとつになりました。
ですが、
鉄の塊あーまーじゃっくは意に介しません!
「む・・・無駄と言ったろう、
2匹が3匹になったとて、
か・・・変わりはしない・・・。」
そんな言葉で彼らの意をそぐ事はできません!
いぬは牙を剥き出しにし、
二、三回前脚で地面を引っかいた後、
前傾姿勢に・・・。
キジは大きく羽ばたいたかと思うと、
グググッと、畳に沈み込みました!
「いったれっ!!」
うりぃの号令とともに、
いぬがあーまーじゃっくの顔面に飛び掛ります!!
そしてすぐさまキジも飛翔!!
時間差で飛び掛って、
うりぃが逃げる隙を作ろうというのです!
・・・ですが・・・。
彼らの予測では、
悪い結果になったとしても、
いぬがはたかれて、
空いたじゃっくの顔面に再びキジが・・・
と思っていたのですが、
なんとあーまーじゃっくは、
いぬの喉元を片手で掴み込んでしまったのです。
いぬはもがくも、
その場で行動を封じられてしまいます!
それどころか・・・
「あっ、あっ、いぬさん、
そこどくですどっ!?」
あーまーじゃっくの顔面があるはずの場所に、
暴れるいぬが動けずに・・・。
そこへキジさんの鋭いクチバシが・・・!!
グサッ !
次回予告、
お、美味しいですど!