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だいじゅうわ 天邪鬼

 

 「・・・ムニャ?」

お屋敷の主人は目を覚ましました・・・。

何か、只ならぬ気配を感じたのでしょうか・・・?


 ギシッ・・・

誰かが廊下にいる気配がします。

奥方? 奉公人?

だとしても何故こんな時間に?


 ギシッ、ギシッ・・・

段々足音は近づいてきます、

屋敷の主人は枕もとの刀に手を伸ばしました。


 「・・・誰ぞおるのか・・・!?」


足音はふすまの前で止まりました。

主人の質問に答える声はありません、

間違いなく、

家の者ではないと彼は判断しました・・・ならば!


 カチッ・・・

ゆっくり刀身を鞘から抜き・・・、

いつでもふすまが開いたならば、

攻撃に転じようとした、まさにその時!


 「・・・うちや・・・うりぃ・めりぃや・・・

 あぁけぇてぇけぇぇ?」


気味の悪い子供の声が響いてきます。

勿論、自分の子供ではありません・・・!

  

 「面妖な・・・! 何者だ!?」

 「ちょっとでええんやぁ・・・、

 あぁけぇてぇけぇぇぇ!?」

 「・・・ふざけるにも程がある!

 覚悟いたせ!!」


そう言うと、

屋敷の主人はふすま越しに、

鋭い日本刀を突き出しました・・・!


 「ぎゅわぁっ!?」 

不気味な悲鳴と、

気味の悪い感触は確かな物でした・・・、

主人は、

物音がしなくなるのを確かめると、視線を下に下ろしたまま、

ゆっくりとふすまを開きました。


 ガゥゥッ!!

 「うわぁっ!!」


真っ白い何かが主人の目の前に飛び込んできました!

全く予想だにできない展開です。

間一髪で主人が顔をそらし、後ろを振り向くと、

白い何かは布団の中へ潜ったのか、

大きな塊が布団の中を蠢いています・・・。


 「・・・くっ? 浅かったのか!?」

主人は今度こそトドメを刺そうと、布団の中で蠢くものに狙いを定めた時、

背後から再びあの子供の声が・・・!

 「・・・うちは、

 いま、あんたの後ろにおるでぇ・・・!?」

 

 な、なん・・・!?


 「・・・ぐはっ!!」

慌てて振り返っても、時既に遅し・・・。

うりぃの血塗られた草刈り鎌が、

主人の胸を貫いていました・・・。


 「・・・すまんな? これも仕事なんや・・・。」


そして、

主人は畳の上に崩れ、息を引き取りました・・・。

全て予定通りです。


 「・・・おい、いぬ? 行くで?」

うりぃは布団の中で遊んでいるいぬに声をかけました。

すぐに、もぞもぞと這い出てきますが、

おなかが痛そうです。

さっき刺されたところでしょう。


 「あいたたたたた・・・!」

 「今回は刃物傷か?

 まぁそのほうが治りがはやかろう?」

 「そ、そんなこと言っても、痛いんすよ?

 早く帰りましょう?」

 「せやな、もう、用はないしな?」


二人がこの部屋を後にしようと、

開いたまんまのふすまを通り過ぎようとした時、

突然、二人の視界は、

何か大きなものによって塞がれました。

 

 !?

鎧兜です・・・。

さっき廊下にあったはずの、

ごっつい鎧兜が廊下を移動し、

この部屋の真ん前に立ちはだかっているではないですか?

 「な、なんや?

 さっきまで、ここに、こんなものっ!?」


 ビカッ!!


 「!?」

なんと言うことでしょう、

その兜の顔面から、

得体の知れない二つの光が灯ったのです!


 「こいつ!?」

・・・そして、

さらにそのいかつい面からは、

重厚な、そしてたどたどしい声が・・・。


 『わ、我が名は・・・アーマー ・・・ジャック!

 おまえ・・・い、いま、

 我に鎌は効かないかも、と、思っている、な・・・?』


うりぃは鎧兜を見上げたまま叫びます。

 「あ、あ・・・あまんじゃくかっ!?」          


瓜子姫最大の敵対者、その名は天邪鬼です!!

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