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「す、すみません。何気なく手に取ったら、熱くなって、気が付いたら放り投げてしまいまいした! ごめんなさい!」
「・・・いや、認めてくれるんなら、ちゃんとその分のお金を払ってくれ。ラピスラズリ石、一個で金貨2枚だ。」
あ。
お金持ってません。
私は焦りながら辺りを見回しましたが、アークがいつの間にかいなくなっていました。
あれ?
アークがいません!
どうしましょう。
あ、そうだ。
「あの、おじさん、この辺で素材買ってくれる所ありませんか? 今手持ちがないのです。」
「ん? 素材あるのか? 何の素材だ?」
おじさんは、不思議そうな顔をしながら私のリュックに目を向けました。
ランドークの町で、アークに買ってもらった物で中に服を入れたものです。
アークに、アイテムボックスから物を取り出す時は、そこに手を入れて取ればいいと言われていたのです。
「えーっと・・・薬草とニワトリの肉と一角狼の素材と魔石小です。」
「・・・え? ちょっ、嬢ちゃん、今なんて言った?」
おじさんは、なんだかすごく焦ったような顔をしてすごい勢いで詰め寄ってきました。
ち、近いです。
怖いです。
なんなんですか!
「どうされました?」
今にもおじさんが私の肩を掴もうとしたとき、スッと私とおじさんの間に入ってきたのは、綺麗な銀髪を背中のマントに流したすっごい美青年でした。
私もおじさんも、思わずぼーっとその美青年に見とれてしまいました。
瞳が緑です!
銀髪も初めて見ました。
すごくさらさらしてて思わず手を伸ばしかけた時、その美青年はもう一度言いました。
「どうかされましたか?」
美青年は私をかばうように立ち、おじさんに向かってそう問いかけました。
おじさんは、見とれてしまったのが恥ずかしいのか、少し顔を赤らめ、ゴホンッと軽く咳払いをしました。
「いや、その、嬢ちゃんがな、うちのラピスラズリ石を投げ飛ばしてな、それで料金を払ってもらおうと思ってだな・・・そしたら、嬢ちゃんが・・・」
「そのラピスラズリ石というのは、これの事ですか?」
おじさんの言葉を途中で遮るように、美青年はスッと右手を開いて手の中の石を見せました。
「お、おお! これこれ! これだ!」
おじさんは、嬉しそうにその石を手にとり、透かしたり握ったりして、うんうんと頷きました。
「よければ、その石を私に売ってもらえませんか?」
美青年がそう言うと、おじさんはさらに嬉しそうな顔になりました。
「そりゃもちろんいいが、なんでうちのラピスラズリ石を持ってたんだ?」
「いえ、私はあちらにいたのですが、この石が飛んできまして、何だろうと思っていたらたまたまあなた達の声が聞こえましたので。」




