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「結界!」
赤い光が目視できる距離に近づいたとき、アークはかばうように私の前に移動しながらじっとその先を見ていました。
ガサガサッ
音がしたかと思うと、アークは素早く地を蹴り、踏み込んで間合いを詰め、剣を真横に振り切りました。
踏み込んだ片足を軸に、反転したかと思うと、今後は横に飛び、振り切ったはずの剣を今度は下から上に振り上げました。
あっとゆうまの出来事で、はっきり言って私には何が起こったのかさっぱりでしたが、気付いた時には二つの赤い光は消えていて、いつの間にか戻ってきたアークが目の前にいました。
「ユーリ。もう大丈夫だが、このまま結界は解くな。解体頼めるか? 俺は少しこいつらが来た方向が気になるから見て来る。すぐ戻る。」
アークは私の返事を待たず、軽く剣を振ると鞘に戻し、赤い光が来た方向へ走り出しました。
音もなく風のように速く走っていきました。
アークは、あんなに速く走れるんですね。
あ。
そういえば、解体頼まれました。
出来ることからやります。
街道と森のちょうど境目にそれはありました。
豹に似ていますが、2倍くらいは大きいでしょうか。
ねじれた真っ黒い角が二本生えています。
見なければよかったです。
首が二つ転がってました。
綺麗に首から真っ二つになったそれは、この世界で初めて見る、青い血を流していました。
私はなるべくそれを見ないようにしながら、解体とアイテムボックスを頭の中で思い浮かべました。
魔物の青い血を見ていたくなくて、浄化を施しました。
綺麗になった地面を見ていると、音もなくアークが目の前に戻ってきました。
「ユーリ。大丈夫か? 二角豹がこんな街道に出るとは驚いたが、近くに巣はなかった。二体だけのようだ。」
アークは浄化した地面を不思議そうな顔で見ていました。
「ユーリ、二角豹の血も採取したのか? あれは毒にしかならんぞ。」
私は首を振り、浄化して綺麗にしただけ と答えました。
アークは、そんな事も出来るのか と呟きながら感心したように私に向き直りました。
「ユーリ、どうした? 何か気になるのか?」
「アークって、すごく強いんですね! 動きが速すぎて何が起こったかよくわかりませんでした。それに、魔物の血って青いんですね。驚きました。」
「ん? 魔物の血青いか? 普通に赤いはずだが・・・」
アークは驚いたようにそう呟き、何を思ったかいきなり剣を抜きました。
剣を真横にして目線の高さで見ながら、見てみろ、と私に剣を見せました。
私はこわごわ目の高さに向けられた剣を見ました。
そこには青い血が少しだけこびりついていました。
「青い血がついてます。」
私がそう言いながらそこと指さすと、アークは難しい顔をしました。
「これ、青く見えるのか?」




