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えっと。
えっとですね。
しょ、将来を誓い合った仲に、なってるんでしょうか?
そういえば、次からは夫婦って言うとかなんとか言ってました。
冗談だと思ってましたが・・・
ぶ、文化の違いなんでしょうか?
どうしましょう。
確か私は、アークと一緒にいたい、世界を回りたいと言いました。
あれは何か、意味がある言葉なんでしょうか?
ぎゅっと背中に回ったアークの腕に力が入りました。
気が付くとそっと、大事なもののように抱きしめられていました。
なんでしょう。
そうしているうちに、段々と何かが身体全体を優しく包むような不思議な感じがしました。
私はそっと両手でアークの服を握りました。
不思議ですが、すごく安心して身も心も温かくなって、自分でも信じられませんが、私はアークの胸に頬をすり寄せていました。
「ユーリ、あんまり可愛いことするな。喰っちまうぞ。」
アークはまた悪い大人の顔をして、私を覗き込み、ちゅっと軽く唇を合わせ、またまた素早く私を離し立ち上がりました。
いきなり、温もりが消えてしまって心寂しい気持ちになりました。
アークは何事もなかったかのように、さっさと旅立つ準備を始めました。
私もなんとか落ち着いて、浄化と着替えをしました。
なんだか、狐につままれたような、何とも言えない気持ちのまま、私達は宿を後にしました。
うん。
目指すは、クリスタです!
知識の都だそうです!
わくわくします!
クリスタは、ランドークより南に向かって、村を一つ、イスラの都、村を一つ、超えてクリスタの都があるとのことです。
それぞれ、徒歩で一日も歩けば到着できますが、ほとんどの冒険者は途中の村で泊まらず、野営する人が多いようです。
ランドークからクリスタまでは、徒歩で四日というところです。
今朝、ランドークの町を出発して、途中で昼食を食べたあとから、アークの様子がおかしい事に気付きました。
だんだんと不機嫌になって、表情も硬く、無言のままピリピリした雰囲気です。
私はそんなアークをどうすることもできず、ただ黙って着いて行くしかありませんでした。
ふと、周りの景色、街道の右側に広がる森へと続く道に見覚えがありました。
あ、ここって、アークと一緒に出てきた森です。
もしかしたら、この街道の先って・・・・・
ピコーン!
そのとき、二つの赤い光がすごい勢いでこちらに向かってきました。
「アーク!」
私は思わず叫んでいました。
アークはハッとして私を一瞥し、すぐに私が見ている方向へ視線を向け、素早く腰の剣を抜きました。
森の奥からまっすぐこっちに向かって動く二つの赤い光。




