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立ち上がった後のアークは、ものすごく上機嫌で、何事もなかったかのように振る舞い、明日はクリスタへ向かう、と言うとさっさとベッドに横になり寝てしまいました。
・・・・
私はそんなアークをしばらく呆然と見ていました。
朝です!
さて、どうしてまたアークが絡まっているんでしょうか?
しかも、目の前にアークの綺麗な顔があります!
「けっ・・・むむむんんっ!」
なっ
またっ
「んんんんんんっ!」
アークの柔らかい唇の感触を感じながら、必死に抵抗しましたが、動けませんでした。
私は目の前にある二つの赤い瞳をにらみつけました。
・・・さらにきつく抱きしめられました。
ちょっ
く、苦しいです。
唇はふさがれていて、結界も言えず、背中に回った腕はきつく、息もできません、もうだめです・・・・
思わず目を閉じて、苦しそうな顔をしたとき、柔らかいアークの唇が離れました。
「ユーリ、おはよう。結界は言わせないと言ったはずだ。もう容赦しない事にしたからな。ユーリは自覚なさすぎだから、俺のものだともっと自覚してもらう。」
アークの静かな声が耳元で聞こえました。
死にそうでしたが、なんとか息が吸えます。
ふぅ~
って、アーク、今、何と言いましたか??
「アーク?」
私は頭の中に大きな?マークを思い浮かべながらアークを見ました。
「・・・ユーリ、昨日の事は覚えているか?」
アークは、さり気なく私を腕の中に入れたまま、不機嫌そうにそう言うと、さらに口を開きました。
「行く店行く店で、愛想ふりまき、はしゃぎ、色んなやつにぶつかり、声をかけられては嬉しそうに話し、さらには、もう少しで連れ去られそうになっていたのに、無邪気な顔してニコニコするだけ! お前は俺のものだと、もう、死ぬ思いで周りを威嚇していた俺を完全無視して、色んな店の中をふらふらしやがって! 何でも欲しいものがあれば買ってやるのに、ユーリは手にとっては嬉しそうに眺めて、戻し、次々見ては同じようにして、出会う人出会う人にニコニコと話をして、お前は、いったい、何を考えてるんだ!」
えっと・・・・
え?
何のことでしょうか?
早口すぎて、よくわかりませんでした。
もう一度・・・
はい。
とても聞ける雰囲気ではありませんでした。
アークは昨日の事を思い出して、さらに気分を悪くしたのか、イライラしたように、続けました。
終わりませんでした。
「俺の変装のせいで、恋人には見えなかったのも拍車をかけ、周りの奴らはユーリに色目を使っていた。むかむかして部屋に戻れば、ユーリから金の話だ。俺と一緒にいたいと言った、将来を約束しただろ? 俺のものなのに、俺はユーリに一銅たりとも払わすつもりはない。ユーリ、お前は自分の事をもっと自覚しろ。言っておくがお前を手に入れる為なら何でもするというやつはかなりいるぞ。そしてもっと俺のものだと自覚しろ。」




