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「嬢ちゃん・・・おんぶってのは、赤ん坊だけがするものだぞ。いかに子どもといえど、男にそりゃあちと傷つくぞ。しかも嬢ちゃんみたいな可愛い女の子に言われては・・」
なんと!
カルチャーショックです!
おんぶは赤ちゃんだけだそうです。
でも、おんぶじゃなかったら、抱っこするのでしょうか・・・?
「アーク。どうやら文化の違いのようだぞ。あんまり気にするな。嬢ちゃんがびっくりしてる。それより、本題に戻すからな。記憶を奪う呪いとは、確かにあり得るかもしれん。もし、呪いなら、嬢ちゃんが解除できるかもしれんな。」
虎さんは、どうだ? というように私を見て言います。
確かに、呪いなら状態回復のリカバーで治りそうな気がします。
「ダメだ。ユーリの魔法を使うのはなしだ。記憶がないだけなら問題はないだろう。それより、行方不明の32人が心配だ。今回依頼を受けた俺たちのように、攻撃を受け、命を落としている可能性が高い。」
アークはさっきまで怒っていたのに、私が返事をしようとしたのを横から強い口調で一気にまくし立てました。
「まぁ、そうだな。打つ手がなくなったときにするか。とりあえず、ギルドとしては、今後受けた依頼は必ず皆で確認し、同じような依頼はそのまま保留することになっている。新たに、依頼主を思い出せない場合の依頼も保留するように伝達するか。うまくいけば、しばらくは行方不明者が出ないだろう。」
虎さんは、アークの勢いに少し驚いたような顔をしながら、まとめました。
「そうか。俺達は、クリスタへ向かう。エイムズと色々調べてみる。」
アークは虎さんと握手を交わし、私たちはそのままギルドを後にしました。
もちろんその後は、アークにランドークの町をいっぱい案内してもらいました。
素材を売ったり、ギルドに登録したりするのを忘れていたのは仕方ありません。
町の中が素敵すぎたんです!
「あ、素材売るの忘れてました。それにギルドにも、登録したかったです。」
夕食をおなか一杯食べて、大満足した私は、部屋に戻りベッドに腰を落ろして、ふと思い出しました。
お金がない状態なのは申し訳ないです。
今日は色々買い物しましたが、アークが知らないうちにいつも代金を払っていました。
「アーク、持ってる素材がどれ位のお金になるか分かりませんが、明日必ずお返しします。」
私はそう言いながら何気なくアークを見ました。
アークは丁度腰の剣をサイドテーブルに置いた所でした。
すぐそばにいたのですが、アークは向こうを向いていたので表情が分かりませんでしたが、くるっと振り向いたとき、にっこりとこれまた極上の天使の微笑でした。
「ユーリ。俺は全く気にしていないが、そんなに気になるのか?」
ん?
あれれ?
なんだか、アークの顔が悪い大人顔になってます・・・
アークは、変装は意味がない!失敗した! と言って、早々に宿に戻った時に元に戻っていました。
サラサラの金髪が部屋のほの暗いランプの明かりに照らされてキラキラ輝いています。
二つの赤い瞳が、熱を持ってほのかに燃えているようです。
なんでしょう。
なにかが漏れてます。
どんどん近づいてくるアーク・・・
こ、怖いです。
逃げたいのに、アークの瞳に射竦められて、動けません。
「ユーリ・・・」




