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虎さんは、虎耳をピクピク動かして、尻尾でアークの腰あたりをバシバシしていました。
おっきいです。
アークも大きいですが、さらに大きいです。
虎さんです!
すごく強そうです!
「エドヴァルト。これ、よけてもいいか?」
アークは不機嫌そうに、虎さんの尻尾を指さしています。
「あははは。相変わらずそっけないやつだな。何度も言うが、これは親愛の挨拶なんだぞ。」
虎さんは、上機嫌で尻尾のバシバシをさらに加速しました。
ひとしきり、バシバシして満足したあと、虎さんはふと私を見て、途端に、口元を緩めてニヤニヤしました。
「で、今日は可愛い恋人でも見せびらかしに来たのか?」
「そうだな。ユーリはとびきり可愛いが・・・今日は少し厄介な案件だ。」
虎さんはとたんに顔を歪め、はぁ~とため息を吐いて、ソファーにどかっと座りました。
アークはくいっと私をひっぱり、向かいのソファーに座りました。
「よし、聞こうか!」
私達が座ったと同時に虎さんはそう切り出しました。
アークは、まず私を紹介し、今迄のいきさつをすべて話しました。
おかしな依頼主の事、依頼途中での出来事、呪いの事、ランドークの町中で追手に襲われた事。
そして私が異世界から来た事、アークの呪いを解除したこと、追手の名前を見た事。
虎さんは、始終難しい顔をして聞いていました。
アークは話し終わるとそっと私の手を握り、大丈夫だ、と言うようにふわっと柔らかい笑顔を向けました。
アークの温かい手をそっと握り返して、私は虎さんをじっと見ていました。
虎さんは、ひとしきりう~だとかあ~だとか唸ったあと、バシンと両手で膝を打ちました。
そして、私たちを順に見回して、ニヤッと笑いました。
「よし! 色々突っ込みたい所はあるが、まずは出来る事からやるぞ。 アークが受けた依頼主の事だが、それは後で話そう。追手から手に入れたローブを見せてくれるか?」
アークは軽く頷いて、鞄から黒いローブを出し、テーブルの上に置きました。
アークは意外と几帳面なのでしょうか。
綺麗にたたまれて、ちょうど文様が見えるように整っていました。
「エドヴァルト、ここにある文様、どこかで見た事あるような気がするんだが、どう思う? 魔女アディについてはどうだ?」
「どれ・・・・ふむ。昔、エイムズが見ていた文献に似たようなのがあったような気がするが・・・詳しくは分からん。魔女アディについては、全く聞いたこともない。お手上げだ。」
「そうか。まぁエイムズなら何か知ってそうだと俺も思う。どちらにしてもエイムズには会いに行く予定だし、この文様と魔女の話は任せてくれ。」
「そうか。なら追手の件はまかせたぞ。あと、例の依頼主の一件だがな、実は、先日ギルドマスター緊急招集があった。これを見てみろ。」
虎さんは、そう言うと、さっき見ていた書類をアークに見るよう促しました。
アークはその書類を手に取り、目を通し、すぐに顔色を変えました。
「エドヴァルト、これは・・・・」
無言で視線を交わし、怖い顔をしているアークの横で、私は二人の様子を見て不安になり、アークの手をぎゅっと握りました。
何が起こってるんでしょうか。




