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「ユーリ。ホーリーの事なんだが、あれは一体どうゆう魔法なんだ? 消し去る魔法なのか?」
「前に、魔物を倒したときは、消えなかったです。体残ってました。私にもよく分からないです。」
正直、全くどういう魔法なのか分からないです。
「逆に教えてほしいです。アークは、ホーリーって魔法のこと何か知りませんか? それと・・・昨日の、黒フードの中身って、人でしたか?」
私はどうしても不安を隠せず、声が震えました。
一瞬、アークの瞳に困惑の色が見えましたが、すぐさま、燃えるような赤い瞳に炎をともしたような挑戦的な色になりました。
「魔法のことは、前にも言った通り、緑の魔法は何もかもが不明だ。まぁ、望みは薄いがあてがある。黒フードの中身か・・・ユーリ、本当に知りたいか?」
私は目をそらさず、もちろんです、と頷きました。
アークは、途端ににやりと口元をゆがませました。
「あれが人の訳がないだろう。4本もの変な触手持ちだぞ。魔物だ。それともユーリの世界ではあんな人がいるのか?」
アークはポンポンっと私の頭を軽くたたきました。
「それに一言も言葉を発しなかった。大丈夫だ、俺はユーリのホーリーで人は死なないと思うぞ。試しに俺にかけてみるか?」
なっ
一気に青ざめた私を面白そうに笑いながら、アークはさらに私の頭をポンポンしました。
アークは恐ろしくないのでしょうか。
一瞬で消えてしまった、消してしまった魔法ですのに。
「さて、今日は忙しくなるぞ。まずは朝飯食って、冒険者ギルドへ行く。」
アークはとびきりの笑顔を見せてくれました。
私はそんなアークを見て何故だか元気になれました。
うん。
冒険者ギルドです!
楽しみです!
やってきました!
冒険者ギルドです!
入り口を入ると、いかにも冒険者らしい恰好をした方達がいました。
アークによると、まだ早朝なので、これでも少ないそうですが、かなり賑わってると感じました。
左奥に、夜は酒場、昼間は食堂になる場所がありました。
こちらは少し閑散としていました。
私が周りをキョロキョロしている間に、アークがカウンターにいる男の人に話しかけると、男の人が慌てて後ろの階段を上っていきました。
すぐ降りてこられて、こちらへどうぞ、と2階へ案内してくれました。
案内された部屋は、3人掛けソファーが二つ向かい合い、真ん中に長方形の大きな石のテーブルがありました。
その片方のソファーに、大きな虎さんが、座っていました。
すごく怖そうな顔をして、眉間にしわを寄せ、虎耳をピーンと立てて、手に持った書類をにらんでいました。
パタンッと案内してくれた男の人が出て行った途端に、虎さんは立ち上がり、アークに近づいてきました。
「よぉ! アーク! 久しぶりだな!」




