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ん?
これだけ?
なにこれ?
色々突っ込みたいけど、今はそれどころじゃないです。
一応名前だけでも鑑定できたので、行きます!
無敵結界様!
お願いします!
私は、何も考えず、ただアークと魔女アディの実験体13の間に割り込みました。
「なっ!」
ばちぃぃぃぃぃん!
私は両手を広げて、アークを後ろにはじき飛ばしました。
はい。
ア ー ク を、はじき飛ばしました。
魔女アディの実験体13は、私の乱入と同時に後ろに飛び、離れました。
いい感じです。
私はそのまま手を広げて、アークがこちらに近づけないようにしながら、魔女アディの実験体13に向かって言いました。
「ホーリー!」
お願い、効いて!
私は心の底から願いました。
正体は分かりません。
もし、人間だったらと・・・・・
考えても私にできるのはこれだけです。
すごく光りました。
夜なのに、真昼のようなその光は辺りを一瞬照らしました。
光は一瞬で掻き消えました。
黒いローブの塊が、地面にありました。
怖いです。
でも確認しないといけません。
私は恐る恐る近づこうとしました。
それより早く風のようにアークが私の前に立ちました。
「ユーリ。俺が確認する。動くな。」
少し荒い呼吸をしたアークが、鋭い視線を黒いローブに向けたまま言いました。
いつもと違う強い口調は、逆らうことを許さない意思を感じました。
「確認、お願いします。」
声が震えたのは仕方ありません。
人を殺してしまったかもしれないのです。
それでも、決して視線だけは離さず黒いローブを見ていました。
アークは剣の切っ先をローブの端にあて、刃を当てないようにくいっと一気にローブを翻しました。
何もありませんでした。
本当になんにもなかったのです。
焦げたあとも、消し炭も、骨も肉も、何もありませんでした。




