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「俺は絶対死ぬわけにはいかない。・・・お前がどんなに強くても!」
男の子は叫びました。
え?
あの・・・
ちょ
「死んではダメです。怪我や病気なら治せます。」
男の子の青い顔色は、きっと何か病気か怪我をしてるに決まってます。
心なしか目の焦点も揺れていて、合っていないように見えます。
こんな小さな男の子が死んではダメです。
最後何か言ってたみたいだけど、私にはよく分かりませんでした。
とにかく、初めて見た人間が死ぬなんて私は絶対嫌です。
「どこが悪いんですか? 見せてください。」
私は天涯孤独です。
両親も、小さな妹ももうこの世のどこにもいません。
妹は生まれたときから体が弱く、病院から出たことがありませんでした。
両親は、精一杯の愛情を注いでいましたが、病気が治ることも、元気になることもないまま10歳になる直前に亡くなってしまいました。
両親は心労とショックで生気を亡くし、後を追うように亡くなりました。
病気や怪我を治せる魔法のある世界。
剣と魔法の世界への憧れは、私の中にずっとあったものです。
目の前の男の子が、死ぬような何かがあるなら絶対助けたいです。
力尽きるまで、今度こそ、私にできるすべてをするつもりです。
男の子の顔色はどんどん悪くなっていくようでした。
私は無言で近づいていきました。
絶対助けます!
そんな気持ちを込めて、ずんずんと歩いていきました。
男の子はとうとう顔面蒼白になり、ふぅっと吸い込まれるように意識を無くして倒れました。
私は咄嗟に手を伸ばして男の子を腕の中に抱き留めました。
背中に回した右手がぬるっと何かに触りました。
私は慎重に男の子を動かして調べました。
背中に大きな傷がありました。
ざっくりと刺されたような深い傷があり、赤い血がどんどん流れていたのです。
「ヒール!」
叫びながら、右手をかざし、男の子の背中の深い傷をそっと覆いました。
「ヒール!」
2度目のヒールを叫んだとき、どんどん流れていた血が止まり、見る間に傷がふさがっていきました。
よかった。
これならきっと大丈夫です。
私は完全にふさがった傷跡を少し撫ぜながら、よかった、と心の底から呟きました。
「浄化!」
血で真っ赤になった男の子の服と血の付いた私の手が、淡い光とともに綺麗になっていきました。
男の子の服の穴は開いたままだったけど、付いていた血の跡はすっかりなくなりました。
病院のベッドを具現化して、男の子を寝かせました。
その時初めて男の子を間近で見ました。
とても整った顔をしていました。
寝ている姿は天使のようです。
こんな小さな男の子が、なぜこんなひどい怪我をしていたのか分かりません。
憧れの剣と魔法の世界は、もしかしたら優しい世界ではないのでしょうか。
わくわくしていた気持ちが急激にしぼんでいきました。
少なくとも、この男の子にとってこの世界はきびしいのでしょうか。




