Prologue.1
『神秘の世界・スティグリアの住民になって充実した生活を送りませんか?』
そんな誘い文句のオンラインゲーム《アンティーク・ライン》のタイトル画面を俺は眺めていた。
友人から「発売前の最終チェックと称したβテストの募集があるから一緒に応募しよう」と誘われ、応募したら当選してしまい、送られてきたパッケージを嫌々開封し、現在に至る。
「にしても、これ名称詐欺だろ……」
タイトル画面には大きく《アンティーク・ライン》とロゴが表示されているが、そこに描かれているキャラクターの服装はアーマー系の重装備や巫女服、戦闘向けにアーマーの付いたローブなど、想像とかなりかけ離れていた。
「まぁβテストだけで製品版は買うつもりないからいいけどさー」
愚痴りながらも画面を進めると、住民登録という画面に到着。ログには性別と生年月日、血液型を決めてくださいと表示されていた。
「別に偽る必要ないよな」
だいたい偽る奴は出会い厨か何かだと思う。まぁ過去の経験からの憶測にすぎないが。
さらに画面を進めるとキャラクター作成欄。どうやら種族ごとに初期ステータスが異なるらしい。別に種族にこだわるつもりはないが、職業の関係上それに見合ったものを選ぶべきなのだろうか。
それぞれ説明欄にはこう書かれていた。
《種族》
▼ヒューマン
ステータスは平均的でバランス型。いろんな職業に適しているため、まだ方向性を決めていない初心者にオススメ。
▼エルフ
MPがもっとも高い種族。その代わり守備力とHPがもっとも低い。後方支援向きだが重装備でいけば前衛で魔法攻撃を仕掛けることもできる。
▼獣人族
HPと守備力がもっとも高い種族。その代わり素早さとMPがもっとも低い。前衛で敵を引きつける壁役に向いている。
▼狐族
素早さと攻撃力がもっとも高い種族。素早さと攻撃力以外のステータスはランダムで決まるため運要素が強い。
といった感じにそれぞれメリットとデメリットが存在している。
職業は説明が長いため、取扱い説明書参照とのこと。とりあえず目を通しておく。
▼戦士
主な攻撃を行う職業。上級職あり。
▼守護者
守り専門の職業。通称壁役とも呼ばれる。上級職あり。
▼司祭
回復量がもっとも多い回復職。上級職あり。
▼魔導師
攻撃魔法を主に扱う前衛職。上級職あり。
▼狙撃手
銃しか装備できないが、数少ない二丁拳銃装備が可能な職業。上級職なし。
▼神主(男性専用)
装備が和服のみの回復職。上級職なし。
▼巫女(女性専用)
装備が和服のみの回復職。上級職なし。
どこが長いんだよ。ざっくりしすぎて初心者戸惑うだろ。