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8 ~死ねばよかったのに~
あるカップルが、車で夜の山道を走っていた。
しかし、しばらく走っていると道に迷ってしまった。
カーナビがついていない車だったので、運転していた男は焦ったが、
助手席で寝ていたと思っていた彼女が、
「そこを右。」
と案内しだしたのだ。
「なんだ~、ここ知ってるのかよ~。」と思った男だったが、
助手席から聞こえてくる彼女の案内に従って運転を始めた。
「そこを右。」「そこの細道に入って。」など、彼女の道案内は続いた。
男はその案内に安心して運転を続けた。
そして、
「そこを左に曲がって。」
男は彼女の案内に従うままにハンドルを切って左に曲がった。
「わ、わっ!!!!!!!」
男は急にブレーキを踏んだ。
左に曲がった、そのすぐ先は崖となっていた。
落ちたらまず、命はなかったであろう。
「お前、なんでこんな道なんか教えやがったんだ!!」
男は助手席の彼女に怒鳴った。
「死ねばよかったのに……」
助手席ですやすやと眠る彼女の口から、低い男の声が聞こえた。