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第七話

盛り上がっていこう!

「くっ!」

「.......そんなものか」

飛び交うナイフをかわし、弾き、前に進む。

「とりゃぁぁぁぁぁ!」

「..........甘い!」

相手の仮面に向けて、剣を振るう。

しかし剣は、肉を斬ることはなかった。

避けられてもないし、剣にも触れられていない。

刃は仮面の目の前で止まっていた。


「......大丈夫?」

一葉は机に倒れこんだ俺にそう言ってくる。

「........なんとか」

このところ、ヒーローに出会う確率が急激に上がっているような気がする。

昨日は戦わなかったが、追いかけられた。

しかもエクスを起動するたびに、腹の減りが早いらしく、このところいつも空腹である。

「......腹、減った..........」

「......食べる?」

持っていたバナナを差しだしてくる。

「いや、いい」

「........そう。美味しいのに」


「.....いつまでかかる。なぜ一人にここまで時間がかかる!」

「そう言われましても.......」

男は顔を真っ赤にして、部屋にいた二人の部下に怒鳴った。

「..........会長に言われた手前、Dを抹殺しなければ」

「....社長。レジェンドを使われては.........」

「ふむ.......しかし、あれは」

「.......私が手配しておきます」

「君は........?」

案を出した部下は、名乗り出る。

「私の名は.......ミリアムです。そう、呼んでください」

ミリアムは頭を下げながら、社長と呼ばれた男から見えないところで不敵に笑った。


「........ご主人様?生きてますか?」

「.......ああ。姫子か」

顔を上げると姫子が立っていた。

「.........雨狼は?」

「..............あれは小林さんと一緒です」

「まあ、いっか」

あれから雨狼と小林さんは付き合い始めたらしい。

三人で帰っていたのが、急に二人になったからか、俺と姫子が付き合っているという噂まで流れだしている。

「......なあ、姫子。あの噂.........」

「あれですか。私としては、ご主人様に近寄る人間どもを牽制することができるので、迷惑じゃないですよ」

「そ、そうか」

どうやら気にしているのは、俺だけのようだ。

「.........それとも、私と付き合ってみたいんですか?」

「..........!」

瞳孔が開き、まるで獲物になってしまったような気分になる。

「あれ、本気にしちゃいました?私はそっちの方がうれしいんですけど......」

「や、いや、違う。思ってないって!」

「.........そんなに否定しなくても」

ピピッピピッ!

「...........アラームですか?」

不思議そうに俺の腕時計を覗き込んでくる。

「あはははは。悪い。俺、用事があるんだった」

「ちょっと、ご主人様!」

追いかけてくる姫子を振り切り、暗い路地に入る。

「..........御剣さん、何があったんだ?」

このアラームが鳴るときは、エクスが必要な時。

つまり、一葉に危機が迫っている時だ。

「場所はどこだ!」

「........真神君の近くの公園」

路地から抜け出し公園を探す。

公園はすぐに見つけることができた。

「早くしないと!」

公園に入るとすぐに、一葉の姿を確認することができた。

「御剣さん!」

「...........!」

「無事.........そうだね?」

一葉は縛られているわけでも、拉致されているわけでも、命の危機でもなく、ただベンチに座っているだけだった。

「..........来てくれたんだ」

「.........なんで呼んだの?」

アラームは一葉の腕時計によって鳴らされる。

「......から」

「え?」

声が小さくて聞こえなかった。

「真神くんが血武さんと楽しそうだったから!」

「うっわ!」

一葉は耳元で大きな声で叫んだ。

「..........それだけ?」

「................うん」

「それって、しっ......避けて!」

言葉の途中、いきなりナイフが飛んできた。

一葉をかばって、横に跳ぶ。

すぐに起き上がって、顔を上げた瞬間。

「..........っ!」

「..........」

目が合った。

プレッシャーだけで、後ろに飛ばされそうになる。

それだけの迫力というか、威圧感があった。

「あなたは.........あなたもヒーローですよね?」

「もちろん。君は.............Dの正体だよね?」

そのヒーローは白い仮面をつけている。

身体には、白い甲冑のようなものを身に着けていた。

その上に、これまた白いマントを羽織っている。

「悪いが.......君には死んでもらわないといけないんだ。仕事だからね」

「それと、同じセリフ。前にも何回か聞きましたよ!」

後ろに大きく跳躍。

その後、エクスを起動する。

「おい、エクス。変身するぜ」

「こんな可愛い美少女を叩き起こすなんて、マスターはサイテーですね」

黒い帯が俺を包んでいく。

そして..........

「.........俺の正義は黒いぜ!...........って、毎回恥ずかしいな、このセリフ!」

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