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第一話

眠気でテンション上がってます。

「んん~。今日から学校か」

軽くストレッチをして、眠っていた身体を起こす。

それにしても、腹が減った。

昨日は確か、夕食を食べてなかった。

きっとというか、そのせいなのはまず間違えない。

眠気も、一旦起動しはじめた空腹には勝てなかったようだ。

「.......腹減った」

いそいそと、ベットから這い出し、制服に着替えてからリビングに向かう。

リビングにはすでに体格のいい男と小柄な少女が座っていた。

「アニキ、お早いお目覚めで」

「お、おはようございます。ご主人様」

二人は俺こと、真神優鬼が通う西森高校の制服をどちらも着ている。

男の名前は菊地雨狼、少女の名前は血武姫子だ。

二人とも古くからの友達.........のはずだ。

そしてリビングには、もう一人いた。

「姫ちゃん、そこのお皿取って」

「はい、メイヤ様」

真神メイヤ。

まるで何かの、神話に出てくる女神を連想させるその姿は、この町内でもかなり有名だ。

しかも、性格も良いときている。

彼女に恋をするのは、異性だけではもちろんすまない。

そんな彼女の心を掴んで離さないのが俺の父、真神乱蔵、その人だ。

乱蔵とメイヤ。

二人の間に生まれたのがもちろんこの俺、優鬼である。

だからと言って、俺がカッコイイかと言われればそうじゃないが........

「優鬼、お父さん起こしてきて」

「.......まだ、起きてないのかよ」

父さん達の寝室に行くとぐっすりと寝ている.................ハムスターを見つけた。

そう、これが俺の父親の姿だ。

と、言っても本来の姿には夜になれば戻る。

元に戻ると、二メートルほどの大男になるが。

今は、ただのハムスターだ。


父親を起こした後、飯を食って家を出る。

今日からも平和で退屈な日々が続くようにと。

僕たちは、三人で通い慣れた道を歩いて行った。


学校の掲示板。

そこは普段、あまり人気がなく張り紙も少ない。

しかし今は普段から想像するとありえないほど混んでいた。

理由は新たなクラスが発表するからだ。

「..........ぐっ、酔った」

「大丈夫ですか、アニキ」

雨狼が心配そうに見てくる。

「.......どこかで休めば」

「なら、私が手厚く看病して差し上げます!」

「いや、いい」

急にテンションの上がった姫子に即答で返す。

「冷たい、ご主人様も素敵!ああ、私、何かに目覚めてしまいそうですわ」

「目覚めなくていいから、静かにしてくれ」

雨狼と共に姫子にはクラス表を見に行ってもらう。

その間、俺は人気のない木陰で休むことにした。

「.........あの人込みは、引きこもり予備軍の俺にはキツイな」

「大丈夫ですか?」

「っ!」

人の気配には敏感な俺が気がつかなかった。

声がした方を見ると、そこには髪を後ろで二つに束ねた美人な女子生徒がいた。

彼女はいきなり、顔を近づけてくる。

「......ホントに大丈夫?」

目と鼻の先ほどの距離で、透き通った綺麗な瞳に見つめられ、自分でも分かるくらいに顔が赤くなってしまった。

「顔.......赤いよ」

赤いのは君の顔が近いからだ。

「え、ああ。少し休めば治るよ」

「そうだ、ちょっと待ってて」

彼女は走り去ってしまった。

制服のリボンが赤だったのを思い出す。

ということは、俺と同じ学年のはずだ。

あれだけ美人だと、有名になっていて俺でも知ってそうだが。

「はあ~。待てって言われても、なぁ」

そんなことを思っているとすぐに彼女は帰ってきた。

手には濡れたタオルが握られていた。

「これ、濡らしたからさ。結構、冷たいよ。.......使って?」

「あ、ありがとう」

タオルを受け取ると頬に当ててみる。

ひんやりと冷たく気持の良いものだった。

その時ふと、視線を感じ顔を上げる。

見ると、彼女がずっとこちらを見ていた。

「.......何か付いてる?」

「........いや、違うの。ねぇ、どっかで会ったことある?」

「ないと思うけど」

「......そう」

そう言われてみると何故か会ったことのあるような懐かしさのようなものを感じた。

「........俺も少し、そんな気がしてきた」

「ふふふ、そう」

彼女は嬉しそうに笑った。

いや、俺の眼がおかしいだけか?

「.......あなたとは、良好な関係を築けそう」

彼女は微笑みながら、手を差し出してきた。

俺も手を差し出し、俺たちは固く握手を交わしたのだった。

感想、よろしくお願いします。

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