母とわたしのリップの約束
母娘の日常の中の大切な『普通の幸せ』の記憶を綴ってみました。※気に入らない方はどうぞ回れ右、でお願いします。
おチビのわたしがはじめてルージュを塗ったとき
口裂け女みたいになっちゃった
そのままママのよそ行きの服とアクセサリーをジャラジャラつけて
鏡の前でファッションショー
見つけたママは爆笑しながらデコピン1回
「あんたにはまだ早い」って
ティッシュで落としてくれたっけ
小学5年のわたしに
「パパにはひみつよ」って
色付きリップをくれたよね
鏡に向かってもらったリップを付けるたびに
ほんのり色づいたくちびるが
ちょっぴり大人に近づけたかんじで嬉しかったのを覚えてる
中学卒業したときに
「高校入学おめでとう」って
淡いピンクのルージュを手渡しされて
少しして初彼との初デートにつけていったら
「似合う」って、耳を赤くしながら褒めてくれたから
だからこれは名誉あるお気に入りルージュ第1号
社会人になってしばらく
ついに彼がプロポーズ
YESと応えた口にはたまたま貰った赤いルージュ
「お父さんがプロポーズしてくれたときにつけてた色なのよ」って
ちょっと照れながら贈ってくれたものだった
「これで親子2代になったわね」って
2人して何だかこそばゆかった報告タイム
そして今日は花嫁控え室で母がとっておきの貝紅で
「最高の出来」って
微笑んでひいてくれたわ
そんな母と指切りひとつ
「わたしに娘ができたならおんなじことをするから」と
これが母とわたしのリップのつぶやき
これが母とわたしのリップの約束
お店でルージュを選んでいる時にふと、頭に浮かんだ1シーンを膨らませて書いてみました。誤字・脱字等ありましたらお知らせください。読んでいただきありがとうございます。