健康寿命キャンペーン
メディアでこぞって宣伝され出した制度がある
一日一万歩歩くと寿命が日伸びるという話だった、走っても大丈夫だそう。
なんでも、長年研究されてきた不老長寿ならぬ、歩数で寿命を伸ばせる機械が開発されたというのだ。
各家に必要人数分送られてきたそれは、利き腕の方の耳の後に貼ることによって、一度貼ると専用機関で剥がしてもらわないと、剥がすことができない。
歩数が計測され一万歩達成で音声ガイダンスが流れる。
「一万歩達成です、日分達成しました」
「一万歩達成です、一日分達成しました」
という風に。
この一万歩が曲者で、ちょっと職場まで歩いていく、という程度の歩数ではない。
大体~ぐらいの計算になる、一時間から一時間半ぐらい、駅換算で行くと三、四駅分になる。
日頃歩いている人達は次々記録を伸ばしていく。
私のような一般人はなかなか到達しない。
土日を使って歩こうとすると、やっぱり同じ考えの人は多かったようで、どこからこんなに人が?と思う程、歩道はすごく混みあっていた。
日頃日焼け止めを塗って、ウォームカバーやサンバイザーをしているマダムたちは、万全の体制で臨んでいた。
そんなことなど考えたこともないような人たちは、炎天下でも素肌を晒して、一万歩達成するまで歩き続けていた。
歩きながら話すマダム三人組の声が聞こえてくる。
「今日もそろそろいきそうね」
「私なんて三日寿命が伸びたわ」
私は相変わらず、土日祝だけ一万歩を稼いでいた。
そうやって年ぐらい経った頃、私たちは明確な違いに気づいていた。
日焼け対策をしていない人達は、明らかに真っ黒でしわが増えているようなのだ、日焼け対策をした人と並ぶと一目瞭然。
これはもしかすると国の実験だったのかもしれない。
見た目の若さを失う代わりに寿命が伸びるもの、見た目がそのままで寿命が伸びたもの、何もしないで有意義な時間を過ごしたもの。
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