血塗られた神託
群衆の視線は、ペリクレスへと詰め寄る一人の男に釘付けになった。
その男——クレオンは、ペリクレスの隣に並び立つと、民衆に向けて吐き捨てるように叫んだ。
「善良なる同胞よ! この男のたわ言に耳を貸してはならん! こいつはこの混乱に乗じて、権力を独占しようとしているだけだ。神の声を聴いたなどという狂言を、こうも安易に信じるとは……愚かにもほどがあるぞ!」
「クレオンよ……」
ペリクレスは静かに、だが重みのある声で返した。
「そなたの不敬な言葉は、神々にも届いているという自覚を持て。もはや我々の言葉は、我々だけのものではないのだ。……さぁ皆よ、神の声を聴け! 神は、最も賢明なる我らの指導者となられた。その御言葉に逆らってはならぬ。我らを救うべく降臨された、慈悲深き御方なのだから!」
「「「うおおおーーーっ!!!」」」
再び沸き起こる熱狂と、地を震わせる拍手。
だが、その熱気がクレオンの堪忍袋の緒を叩き切った。
「……これ以上、貴様の愚行は看過できん。貴様は邪悪な悪魔に唆され、我々を破滅へと導いているのだ。この場で貴様を斬り捨てる——!」
「斬る」と言い終えるよりも早かった。
クレオンは腰の剣を一気に引き抜くと、無防備なペリクレスの体を容赦なく叩き斬った。
鮮血が舞い、広場を静寂が支配する。
その頃、雲の上では……
「おー、なるほど。『天地創造には、まずイメージを具現化する強固な意志と、適度なティータイムが必要である』……か。神様業もなかなか奥が深いな。あ、リリアの方はうまくいってるかな?」




