神からの贈り物
「んっ、んんっ! ……ペリクレスよ。そなたの献身的な行いに対し、私から褒美を授けよう。何か望むことはあるか? 申してみよ」
(よし、言えた! 神様っぽいぞ!)
俺の問いかけに、ペリクレスは深く頭を垂れたまま、静かに口を開いた。
「畏れ多きことにございます。……であるならば、私の無二の友人であるペイディアスに、神の御声が届くようお取り計らいいただけないでしょうか」
(……え、友人? 自分の不老不死とかじゃなくて? なんて良い奴なんだ。……いや、俺の感覚がズレてるだけか?)
予想外の無欲な願いに驚きつつも、俺は手引き書の知識を必死に手繰り寄せた。
「んっ! ……それは安易に授けられる力ではない(※手引き書に『神託の適性は厳格なり』って書いてあったしな!)。……しかし、そなたの他者を想う心意気、己の欲を優先させぬその姿勢には感銘を受けた。その願いを叶えると同時に、私からも特別な贈り物を授けよう」
「言葉では言い表せぬほどの無上の喜び……。底知れぬ深い慈悲に、心より感謝いたします!」
(「特別な贈り物」……ちょっと奮発しすぎたかな? いや、10年も頑張ってくれたんだし、これくらいは当然だよな)
俺は隣の白鳥にこっそり意識を向けた。
「リリア。……おい、リリア?」
見れば、白鳥はクチバシをぎゅっと曲げ、目元にうっすら涙を浮かべていた。
「……何でしょう、ノービス様?」
「お前、さっきから絶対笑ってただろ」
「いいえぇー、笑ってないですよぉー。あまりの神々しさに感動の涙が止まらないだけですぅー」
(絶対嘘だ……。牛のくせに格好つけたのがそんなに面白かったのか)
俺はリリアの生温かい視線を無視して、神の力を練り上げた。
「ペイディアスよ、前へ出よ。そなたに神託を受け取る資格を授ける。……そしてペリクレス、そなたにはこの『聖杯』を。この杯を満たす水を飲むたび、そなたの命の灯火はより長く、力強く燃え続けるだろう」
俺の手元から放たれた光が、二つの形となって具現化する。
彫刻家ペイディアスの脳内に神の響きが刻まれ、ペリクレスの手元には、神の魔力が宿る白銀の聖杯が現れた。
10年の苦労が報われた瞬間、神殿内は再び、言葉にならない嗚咽と歓喜に包まれたのだった。
2014年の初作品でした。
自分で読み返してみると、根本的な雰囲気があまり変わっていないと気付かされました。
続きは……。




