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第五章 救出

ハルト

「ギル……」

セント

「オレはセントだ。ばかな呼び方はやめろ」

ハルト

「セント、お願いがある」

「ナギとヒマリを探すのを手伝ってほしい」

セントは、隣に立つみさとへ視線を向ける。

みさと

「えっ、私?」

ハルト

「みさとちゃんも……一緒に探すのを手伝ってほしいんだ」

みさとは、周囲を見回し、困惑した顔で言った。

みさと

「探すのを手伝うとは言ったけど……」

「なんで霊柩車の中にいるの?」

ケンタ

「なんでこの女まで連れてきたんだよ」

みさと

「そういう言い方するからモテないんだよ」

ケンタは胸を押さえ、その場に崩れ落ちる。

――完全に心を抉る一言だった。

ハルト

「正直、僕らもどこに連れて行かれるかわからないんだ」

そうこうしているうちに、車は静かに停止した。

そこは――廃病院の前だった。

建物の中へ足を踏み入れる。

ケンタ

「この辺で、二人は消えたんだ」

セント

「……こんなふうにか」

セントの手には、みさとに巻きつこうとしていた大蛇の首が掴まれていた。

ハルトとケンタは言葉を失う。

セント

「この蛇、相当女好きらしいな」

ケンタが懐中電灯で照らす。

ケンタ

「ダクトの中から出てきてるのか……」

蛇はずるりと脱皮し、そのままダクトの奥へと逃げていった。

同時に、セントの周囲に霧のように現れた数十枚の五百円玉が、追うようにダクトへ吸い込まれていく。

ケンタ

「……ダクトの中に、ヒマリたちは引きずり込まれたのか」

無数に分岐するダクト。

ハルト

「どっちだよ……」

セント

「白霧のスペースだ」

四人が踏み込んだ瞬間、視界が一気に明るくなる。

そこは、扉だけが点在する灰色の世界だった。

セントは一つの扉の裏を覗く。

セント

「下へ続く階段だな。ここを降りよう」

ハルト

「こんなところに、隠し階段があるなんて……」

階段を降りた先にも、さらに扉があった。

セント

「この先はまた暗闇だ。懐中電灯をつけたほうがいい」

扉を開けると、そこは講堂のような広い空間だった。

壇上が目に入る。

ハルト

「……ナギ!」

床には、液体にまみれ、力なく裸で倒れる二人の女性の姿。

蛇に飲み込まれ、吐き出されたのだろう。

八本の首を持つ大蛇が、うねうねと身を揺らし、再び二人を呑み込もうか迷っているかのようだった。

ハルトは弓を構え、矢を放つ。

放たれた矢は魔法によって分裂し、散弾のように降り注ぐ。

一つの首が沈黙する。

ハルト

「ジャストミート!」

続けて放たれた矢で、さらに四つの首が沈黙した。

みさとを狙った首は、セントが盾で叩き落とす。

MPダウンの効果が走り、その首も動きを止めた。

――残り二本。

ケンタは一本の首と格闘していた。

ケンタ

「何発殴れば黙るんだよ!」

ハルトの矢も巧みにかわされる。

ハルト

「動きが読めない……!」

セントの盾をぶつけても、MPダウンが効かない。

セント

「……特別製か」

セントは短剣を取り出す。

セント

「――その名は、《選定の剣・カリバーンJr》」

一閃。

蛇の腹が裂け、刃が内側から現れる。

最後の首が沈黙した。

セントは剣を拾い上げ、淡々と残った首を切り落としていった。

車に戻ると、運転手が静かに言った。

運転手

「どうやら、試練は終了したようですね」

倒れている二人を見て、目を伏せる。

運転手

「……お可哀そうに」

みさとはセントを見る。

みさと

「……直せないの?」

セントの手には、HPポーションが二本あった。

それをハルトが奪い取り、ナギとヒマリに飲ませる。

みるみる顔色が戻り、二人は目を覚ました。

ナギ・ヒマリ

「きゃっ……!?」

「な、なんでこんな……!」

みさとは慌ててバッグを開き、半袖と長袖の体操着を取り出して二人に渡した。



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