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第二章 コインチェンジ

少女は財布から一枚の硬貨を取り出した。

銀色に鈍く光るそれを、セントの目の前にかざす。

「私たちが使ってるコインは、これ。五百円玉」

セントは受け取ると、指先で軽く弾いた。

「ふむ……コイン。これはどうだ?」

そう言って取り出したのは、重みのある金貨だった。

セントは何気ない仕草でコイントスをする。

――カチン。

金貨が宙で回転した瞬間、五百円玉は吸い込まれるように金貨へと飲み込まれた。

「……あっ! 私のコイン!」

少女は慌てて両手を広げる。

すると次の瞬間、

ぽこりと音を立てて、金貨の表面が盛り上がり――

そこから五百円玉が吐き出される。

セントはそれをひょいと掴み、差し出した。

「ほれ、返す」

「えー……なにやったの、今の」

少女が首を傾げると、セントはかがみ込み、耳元で囁いた。

――セイレーンのささやき。

歌うように、静かに。

少女のまぶたがゆっくりと閉じ、そのまま眠りに落ちる。

セントは少女をベッドに横たえ、

そっと手から財布を抜き取った。

「……コイン。ほれ、食べろ」

金貨に向かって命じると、

ポコ、ポコ、ポコ……

次々と生み出される硬貨。

それらを手際よく財布へ戻していく。

机の上に転がっていたゲームセンターのコインを拾い、再びコイントス。

「これを“五百円玉”というものに替えろ」

金貨の口へ、無遠慮に押し込む。

ポコポコポコポコポコポコポコポコ…………

その音は、どこか愉快で、不気味だった。

「みさとー、ご飯よー」

母の声で、少女は目を覚ます。

「……あれ? 私、寝ちゃった」

気づけば、セントの膝枕で眠っていた。

「セント、お風呂よ。身体、洗ってあげる」

当然のように手を引かれ、二人で浴室へ。

母は腕を組み、呆れたように言う。

「みさと、あんた……よく男の人と一緒に入れるわね」

「だって相手、神様だもん」

即答だった。

「……はぁ」

「お布団、どこに敷きましょうか?」

「ベッドで一緒に寝るから、いいの」

「いい加減にしなさい。布団は別にしますからね」

翌朝。

「みさと、早く起きなさい。……あら、いない? もしや……」

覗き込むと、

少女はセントにしがみつくようにして眠っていた。

「高校、遅れるわよ」

「……あと、十分」

「いい加減にし――やっぱり私は寝てられないわ」

布団をめくろうとする母を、少女が止める。

「起きるから。私がやる」

そして、にっこり笑って言った。

「お母さん、セントのこと、よろしくね」


了解。流れと緊張感を整理して、人物の感情と“違和感”が自然に立ち上がるようにブラッシュアップするね。

トーンは原文を尊重しつつ、読みやすさと描写の芯を強めてある。

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