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第十四章 新興宗教

姫は机に肘をつき、頭を抱えていた。

「決まったわ。あなたはハルト君たちとは別行動」 「ナギちゃんたちは実働部隊として来てもらってるんだけど……」 一拍置き、姫はちらりとセントを見る。 「あなたがいると、実働する前に全部終わっちゃうのよ」

「それで――君の担当は、ぼくになったんだ」

そう言って前に出たのは、セミロングの髪にミニスカスーツがよく似合う女だった。

セント

「……女を逃がした人だ」

特務員の女は肩をすくめ、苦笑する。

「私は神崎美月。神崎誠の妹よ」 「兄を探してるの」 一瞬だけ視線を伏せ、 「正直に言うと、兄が犯罪者だと特務員を続けられない」 「だから――犯罪を起こす前に、捕まえるの」

教団の建物前。

「……全く出てこないな。本当にここで合ってるのか?」

セント

「……」

その時、教団の中から一人の女性信者が出てきた。

セント

「――魅了」

「教団員は口が固い。聞いても無駄だろ」

セントは一歩前に出て、柔らかく微笑む。

「こんにちは」

女は一瞬で顔を赤らめた。

「えっ……? 私、ですか?」

「ぼく、ミナトって“不死のみわざ”を使う子を探してて」

女は迷いなくセントの腕に絡みつく。

「案内しましょうか?」 「ミナト様なら、今日の20時にも“不死のみわざ”をお見せになるのよ」

美月

「ちょっと待って!」

しかし女は振り返りもせず、走り去ってしまった。

美月

「……何、あの女。彼女持ち?」

セント

「折角、潜入できるチャンスだったのに」

「その……色々、ゴメン」

美月

「その“色々”が多すぎるのよ」

夜中。

美月

「さて、そろそろ帰ろうか」

セント

「――白霧のスペース」

壁に、灰色の空間がにじむように現れる。

美月はごくりと唾を飲み、恐る恐るセントの後を追った。

そこは、扉だけが無限に並ぶ世界だった。

セントは一枚の扉の前で立ち止まる。

「……ガチャリ」

扉が開いた。

そこでは、神崎誠とミナトが、舞台の上で“まさに不死の演技”を披露している最中だった。

美月

「……彼らも、私たちの後をついてきたのね」

二人の男が舞台へ上がる。

神崎誠は抵抗もせず、素直に手錠をかけられる。

「信者のみなさん、これは何かの間違いだ」 「捕まったあと、僕は必ず――聖者様のように、あなたたちの前へ戻ってくる」

信者たちがざわめく。

一方、ミナトは暴れていた。

一人目を投げ飛ばし、二人目を羽交い締めにする。

美月

「……なんとかならないかしら?」

視線を向けると、セントは――羊の顔になっていた。

美月

「……かわいい」

次の瞬間。

影が「スーッ」と伸び、死神の形を取る。

死神は、無言でミナトを斬った。

ミナトは崩れ落ち、魂を引きずられながら闇へ消える。

信者たちは大盛り上がりだった。

神崎誠は、目を見開いたまま立ち尽くす。

「……まさか。死ぬはずは……」

その時、セントの顔は、何事もなかったかのように人間に戻っていた。



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