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第十ニ章 復活

机の上に、一枚の書類が置かれている。

そこには無機質な文字でこう記されていた。

――特A亡者0021 ミナト

「魂の抜け落ちたミナト君の身体に、何かしら邪悪な魂が入り込んだのでしょうね」

ヒマリ

「じゃあ……もうミナトじゃないの?」

「ええ。ただ――」

「世を恨んで死んだ平清盛や、菅原道真のような強大な怨霊でなければいいのだけれど」

「でも、君たちを“認識していなかった”ことを考えると、その線は薄いわ」

ハルト

「そう言われても……ミナトの身体に攻撃なんて出来ない」

ナギ

「ごめんね、姫ちゃん。今回は協力できない」

姫は小さく肩を落とした。

その表情に、諦めと理解が同時に滲む。

「……他の方も、同じ意見のようね」

セント

「オレはミナトを知らない」

姫は、少し寂しそうに微笑んだ。

「君は彼らのサポート役だから。それでいいのよ」

ヒマリ

「ミナトは、今どこにいるの?」

セント

「第三ふ頭、第七倉庫」

姫は目を見開いた。

壁の向こうに控えていた男たちが現れ、感嘆したようにセントの肩を叩く。

「君は凄いな」

彼らはそのまま走り去っていった。

「特A亡者0021は、特務員が担当します」

「……私たちの手から、完全に離れます」

セント

「ヒマリが向かってる」

コイン

「アッサリ捕まっちゃったよ。どうすんだ?」

姫は明らかに焦りを隠せていない。

「彼女の状況は?」

コイン

「芳しくない。深手を負ってる」

「ミナトだけじゃない。魂を植え付けた“協力者”がいたらしい」

一瞬の間。

コイン

「高速の路肩に、投げ捨てられてた」

姫は急いで地図を広げる。

セントは赤ペンを取り、迷いなく×印をつけた。

セント

「……ここだな」

病院・集中治療室

ナギ

「ヒマリ……治るかな」

みさと

「なんで一人で行っちゃったの……」

ハルト

「ケンタ、お前止められなかったのかよ」

ケンタ

「行く素振りすら無かった……」

みさと

「セント、直る薬とか持ってないの?」

セントは答えず、コインと小声で何かを話す。

次の瞬間、二人の間に小さな瓶が現れた。

ハルト

「……なんだ、その瓶」

セント

「エリクサー」

ケンタは反射的にそれを奪い取ると、集中治療室へ無理やり踏み込んだ。

看護師

「だ、駄目です!入らないで――」

「先生!大変です!」

看護師が廊下を駆けていく。

ケンタは迷わず、ヒマリの口元に瓶を傾けた。

エリクサーが静かに喉へ流れ込む。

しばらくして――

ヒマリが、ゆっくりと目を開く。

ヒマリ

「……ケンタ?どうしたの?」

ケンタは、何も答えられなかった。

ただ、堪えきれずに涙をこぼしていた。


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