『町長代行総括、そして次の挑戦』
町サバイバル祭が終わって一週間。
町は、あの混乱のあともどこか穏やかだった。
朝、役場の窓から町を眺める。
空き家には灯りがともり、商店街ではいつもの笑い声が聞こえる。
無人島の夜を思い出す。
火を囲んで、全員が必死で生き残ろうとしていたあの瞬間――
町も同じだった。全員が、少しずつ、自分の場所で「生き延びて」いた。
会議室で、最後の総括会議。
「今回の町おこし、成果はどうでしょうか?」
石田さんが聞く。
「……数字では、前年度比で交流イベント参加率が倍になりました」
元町長が笑った。
「若い人の柔軟さに感服した。町が少し変わった気がする」
商店街のおばちゃんは、相変わらずにこやかだ。
「楽しかったわ。またやろうね!」
農家のおじいちゃんも、畑の手を止めて頷いた。
「…悪くなかったな」
俺は胸をなで下ろす。
その夜、役場の机に一人座る。
無人島では、最後に残った火を消さないように必死だった。
町では、火は人の笑顔と活動だ。
数字で見ると、小さな成果かもしれない。
だが、この町の空気、住民の笑顔、そして「またやろう」の声――
それが、何より大きな財産だ。
ふと、スマホが震えた。
画面には、隣町からのメッセージ。
「君の町のやり方、うちでも試したい」
そうか……町おこしは、この先も続くのか。
無人島のサバイバルも面白かったが、町のサバイバルは、もっと手ごたえがある。
高橋は笑った。
「よし、次もやろう。無人島より、ずっと複雑で、ずっと楽しいやつをな」
町長代行、高橋。
手違いから始まった町おこしは、町民とのドタバタ、政治バトル、予期せぬ成功を経て、確かに町を動かした。
だが、この物語の火は、まだ消えていない。
無人島よりずっと長く、ずっと笑えるサバイバルは、これからも続くのだ。




