『町VS町長 クライマックス』
クライマックスは、日曜日の朝にやってきた。
町おこしの**大イベント「町サバイバル祭」**だ。
町全体を使い、住民全員参加、元町長も巻き込み、マスコミも呼んだ。
俺は朝、役場で作戦会議を開いた。
「今日は全員が参加者です。ルールは柔軟、でも成果は数字で出します」
住民がざわめく。
「柔軟って、どれくらい柔軟?」
「……適当です」
無人島なら、このくらいの曖昧さはむしろスリリングだ。
元町長は、腕組みしながら登場。
「高橋君、今日は町の名誉がかかっている」
「名誉……ですか」
俺は心の中で思った。
無人島なら、名誉は火を守ったかどうかだ。
イベント開始。
最初のミッションは「拠点巡り」。
空き家や店舗を巡りながらポイントを稼ぐ形式だ。
しかし、予想通り、トラブルが発生。
「鹿が拠点に侵入!」
再び鹿だ。
今回は子どもも巻き込み、鹿退治作戦が始まる。
「私が押さえる!」
「僕が誘導する!」
「誰かカメラ回して!」
無人島でもありえない協力プレイが町で繰り広げられた。
次のミッションは「特産品争奪戦」。
商店街のおばちゃんチームと農家チームが対決。
戦場は、町の中心にある空き地だ。
「これは戦争だ!」
「いや、平和利用だ!」
元町長も参戦し、突然のバトルに会場は爆笑。
俺は実況役になり、ホワイトボードにポイントを記入する。
午後。
役場の会議室では、石田さんが抗議。
「こんな茶番に予算を使うのか!」
俺はマイクを持って返す。
「茶番じゃありません! 町民の交流と活性化です!」
元町長がつぶやく。
「……町おこしの定義が変わったな」
全員笑い、空気がほぐれた。
夕方、最終ミッション「町の宝を見つけろ」。
町の歴史資料館に隠された「町の宝」を探すゲームだ。
住民、元町長、観光客、カメラマンが入り乱れる。
「見つけた!」
「待て、私のチームだ!」
「ルール? 何それ?」
混乱はピークに達する。
だが、誰も怒っていない。
全員笑っている。
夜。
町サバイバル祭は終了。
集計の結果、勝者は……全員だった。
「全員勝利か!」
「やったー!」
「これで町は生き残ったな」
元町長も笑顔で握手。
「高橋君、やるじゃないか」
俺は、無人島での最終日を思い出した。
全員が生き残ったあの感覚と、町の笑顔が重なる。
その夜、役場の窓から町を眺める。
空き家に灯りが灯り、商店街では笑い声がする。
鹿はいなかったが、町の人間の熱気で十分だった。
小さな政治バトルも、結果的に町を一つにした。
高橋は微笑む。
「無人島より、ずっと手ごたえがある……」
町VS町長編のクライマックスは、
笑いと混乱と小さな勝利で幕を閉じた。




