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北欧おやつ時間〜夢のケーキと午後三時のフィーカ〜  作者: 地野千塩


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番外編短編・一年後の話

 明日香がカフェで働き始めてからちょうど一年がたった。


 春の日差しが強く、相変わらず明日香は花粉症。カフェでのバイトも続けていた。


「ムンちゃん、おはよう」


 いつものように従業員入り口からカフェのバックヤードに入るが、明日香の目はしょぼしょぼ。今年の花粉症は去年よりひどい。


「猫は花粉症ないのかな?」


 カフェの庭でウロウロしている猫のムンキは、相変わらず元気そう。全く花粉の影響を受けず、楽しそうでもあり、明日香はちょっと羨ましい。


 とはいえ、去年よりだいぶ状況は良くなっていた。カウンセラーの夢も進み、今では「スキルマ!」というアプリでリピーターもつき、動画発信やブログも毎日やっていた。


 シェアハウスの暮らしも相変わらずで、和美に投資も教えてもらい、これで家賃と生活費は何とかなっていた。


 スキマバイトアプリも相変わらず活用中。お金の為というより、こうして働き、クライアントの立場を理解する目的もあった。最近は福祉系のスキマバイトもチャレンジし、より視野は広くなってきた。


 正直、カフェでのバイトは金銭面ではしなくてもいい。投資とカウンセリングの収入で何とかなっていた。


 それでも。


「店長、おはようございます!」


 店長の雨川麦の顔が見たい。朝一番にこの笑顔を見たいから。


 カフェは最近はモーニングサービスを始め、朝早い事も多い。


 店長も本業との二足の草鞋を履き、とても忙しそうだが、パンやケーキのクオリティはますます上がっている。今日も厨房は焼きたてのパンやケーキの甘い香りが広がり、明日香も目を閉じそうになるぐらい。


「明日香ちゃん、おはよう!」

「ええ、店長。今日も頑張りましょう!」


 店長との関係も相変わらず。といってもよく一緒にフィーカをしながら、店長の夢、人生、希望なども語り合い、最近は名前で呼ばれるようになってしまった。しかも「ちゃん」づけ。絶妙にこそばゆいが、悪くはない。


「そうだ、フィンランド一緒に行かない?」

「え!?」


 いつものようにフィーカの誘いかと思ったので、店長のその発言には、変な声が出てしまったが。


「いや、本業の宣教旅行でみんなと」

「そ、そうですよね」


 何か変な空気が流れているが、まあ、いいか。


 明日香は深呼吸をすると、再び仕事に戻っている。


「にゃー!」


 猫のムンキの鳴き声がする。なんだか人間たちを馬鹿にしているような響きがあるのは、気のせいのはず。

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