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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

【和志倭人伝・予告編】第35.99話 第3章:「倭国争乱」序曲

作者: 野竹不味
掲載日:2026/01/05

次章「第3章 倭國争乱」のワンカットを集めてみました。

こんな内容で進めていこうと思っています。


乞うご期待ください。


※この話は第3章『倭國争乱』の予告編です。

※本編再開時(1/5)に短編版に移行いたしました。

    ※


台与は、社殿の縁から夜空を見上げた。

そこには黒雲をなびかせた三日月が浮かんでいた。


「お持ちいたしました……」


その声に振り返ると、天叢雲剣あめのむらくものつるぎを捧げて跪く金玄基(キム・ヒョンギ)の姿があった。


台与は、その剣にそっと手を伸ばした。

そして、ゆっくり引き抜きぬくと、剣先を月光にかざした。

時折跳ね返る月明かりが、台与の目を鋭く刺した。


台与は、もう一度、祈るようにして三日月を見つめた。

そして、呟いた。


「願わくば……我に七難八苦を与え給え……」


その声は夜の風に溶け、月の雲をかすかに揺らした。


    ※


「何のことはございませぬ。

 大巫女は皆、貧しき者の生まれにてございまする」


そう言うと、金玄基は深々と頭を下げた。

木の彦尊は飛び上がるようにして立ち上がると、大きく叫んだ。


「そうであろう! やはり、そうであろう!……詳しく聞かせよ!」

「ははっ……」


金玄基は、にやりと笑った顔をゆっくりと持ち上げた。


    ※


クニトラは、眼前に居並ぶ諸国の王を無言で眺めた。


木の彦尊は満面の笑みを浮かべながら大声を張り上げた。


「先例に倣い、クニトラ王を我らが『天王』としてお迎え奉る!」


砂の彦尊はさっと両手を広げ、叫んだ。


「万歳!」


各地の王たちも一斉に両手を広げ、叫んだ。


「万歳、万歳、万歳!」


    ※


アヤメは金玄基の胸に顔を埋めながら、小さく呟いた。


「うちは……ひどか人と一緒になったもんたい……」


    ※


ウヅは駆け寄って跪くと、香取の大巫女を見上げて叫んだ。


「大巫女様……ご無事でございましたか!」

「うむ。ウヅも無事で何よりじゃ……」


香取の大巫女は大刀を下ろしながら、ゆっくりとウヅに歩み寄ると

片膝をついて、ウヅの頬に手を当てた。


「おや、まあ……お髭もこんなに伸びて……」


ウヅは込み上げる涙を堪えながら、にっこりと微笑んでみせた。


    ※


タケルは居並ぶ兵たちを前にして叫んだ。


「神は我らを試みたもう! ならば行こう、神々の座へ!」


    ※


明の彦尊は、自分を見上げる従者たちを横目で見下ろすと、にやりと笑った。


「案ずるな、神が言ったのだ。『私に従え』とな……!」


    ※


備の彦尊はにやりと笑うと、従者たちに命じた。


「奴らを……追撃せよ!」


    ※


「話が違うではないか?!」


そう叫ぶと、登の彦尊は矢をつがえ、立ちどころに放った。


「これでも喰らえっ!」


    ※


ナギサヒコは、その枕元で阿蘇の大巫女を見つめながら、囁いた。


「……今はもう、姉様とお呼びしてよろしいでしょうか?」


    ※


その中に、一風変わった渡来人の姿があった。

台与は掖邪狗(えきやく)に尋ねた。


「あの方は……?」

「言葉が通じぬのですが、ナカツヒコがどうしても……というので連れ帰った者です」


その渡来人はゆっくりとこちらを振り返ると、自分の胸に手を当てた。


「レギーナ・サケルドス・トヨ。

 ルキウス・マリウス・ファルティウス、ローマより……」


    ※


伊声耆(いせいぎ)は辺りを見回しながら叫んだ。


「あの者はどこだ?!」


    ※


阿蘇の大巫女は、両手ですくった湯をパシャッと顔に当てると、大きく息を吐いた。


「はあ〜……若返るようじゃ……」

「レギーナ・サケルドス・マクシマ……これがテルマエ……に、ゴザリマスル」


ルキウスは得意げに両の手を頭の裏に回した。


    ※


伊勢の大巫女は目を細めて伊声耆をじっと見つめた。


「ねぇ……これからは、私と一緒に牡蠣を捕って暮らさない?」


    ※


その時ーー

都市牛利の目が鋭く光った。


「ーー行かせぬ!」


    ※


続けて、久米も叫んだ。


「こんなことになったのも――台与様のせいじゃないか?!」


    ※


難升米は、その背中をじっと見つめながら呟いた。


「ああ……ヤマトは……どうなってしまうんだ……?」


    ※


「大巫女様あああああ……!」


山々に人々の泣き叫ぶ声がこだました。


唸りを上げる風だけが、その声に答えるように吹いていた。


    ※


お読みくださりありがとうございました。


驚かせてしまったらごめんなさい。

本話では、プロットの時系列をぐちゃぐちゃに入れ替えております。


一応、歴史的な『結果』には大筋でコミットする方向です!


第3章は新年1/5(月)20時頃の開幕を予定です。

どうぞ、これからもよろしくお願い申し上げます。


本年は誠にありがとうございました。

新年が皆様にとって良いお年でありますように!


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