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#56 奥の手

「くっ……田舎剣士に続いてお前のような出来損ないにまでかわされるとは」


「いい加減にシデンや辺境のことを馬鹿にするのは止めて! 知りもしないくせに大した事ないって決めつける人って賢くないよ!」


「そうだそうだ! シデン隊長もサラちゃんもすげーんだぞ!」


「二人の力をこれだけ見てまだ分かんねーのか!」


 サラがそう言い放つと同時に周りの兵士から次々に声が上がる。が、プラシドはそんな皆を小馬鹿にしたような笑みを口元に浮かべた。


「たった一発防げたからなんだ。こんなもので俺の力を知ったような顔をするから馬鹿なんだよ! くらえっ!」


 ボンボンボンボン!


 プラシドが小さな火の玉を放つ。さっきと比べたら小さいが、当たれば酷い火傷を負うのは間違いない。


(くそっ、やはりそう来たか……)


 “ヒラリンひらひら”での回避はタイミングが命。それ故に敵の攻撃が増えれば増えるほど対処が困難になる。


(でもサラなら……)


 スル! スル! スルスルスルッ!


 サラは“ヒラリンひらひら”を翻し、まるで手品のように火の玉を弾き飛ばす。目の前の火の玉を弾く前から次弾への対処法を考えての防御……頭のキレるサラだからこその技だ!


「はぁはぁはぁ……」


 肩で息をするプラシドの頬をサラが弾いた火の玉がかする。返す方向も大分思い通りに出来るようになってきたな……


「ふっ……ふはは! 俺の魔法をこれほど簡単に弾きとばすとは、さぞかし自慢だろうな!」


 ここまで魔法を使い続けて来たプラシドは流石に満身創痍。だが、何故か今奴は自分の勝利を確信しているように見えた。


「だが、どれだけ俺の魔法を弾き返しても、お前には俺を攻撃する手段がないだろ! つまりこうやって攻撃し続ければいずれは俺が勝つ!」


「その前に貴方の魔力が尽きそうだけど?」


 サラの指摘は最もだ。だが……


「それはどうかな?」


 意味ありげに口元を歪めながらプラシドは懐に手を入れる。すると……


「それはひょっとして……」


「そう! これはマジックポーション! これを飲めば魔力は回復する!」


 プラシドは言うが早いか、マジックポーションの瓶を一気に飲み干した!


「きったねぇ! 何だよ、それは!」

「反則だろ、そんなの!」


 周りの兵士が文句を言うが、やはりプラシドは素知らぬ顔だ。


「ふん……大方マジックポーションの存在を知らなかったのだろう。だからお前は田舎者なんだよ!」


「御託は良いから早くしてよ」


「ふん……威勢の良さだけは認めてやる! 行くぞ!」


 ボンボン! バリバリ! パッキーン!


 何と今度は火の玉だけでなく、雷や凍気などが混じってる! 


(くそっ! バリエーションをつけることてま火の玉の対処に慣れてきたサラのミスを誘う気か!)


 ただ魔法を放つだけじゃない。プラシドはよくサラのことを観察しているな……

 

 スル! スル! スルスルスルッ!


 だが、サラも負けてはいない。飛んで来る魔法の種類が変わっても今までと同じように……いや、今まで以上の速度と正確さでプラシドの魔法を弾き飛ばしてる!


(そうか! 誘爆か!)


 サラは向かってくるプラシドの魔法にぶつかる様に弾くことで対処しなければいけない攻撃の数を減らしているのだ!


「そろそろ二本目を飲んだほうが良いんじゃない?」


「ふっ、言われずとも!」


 プラシドが再び懐に手を入れた瞬間、少し前にサラが弾き飛ばした火の玉が弧を描いてプラシドへと向かう。敢えて時間差でプラシドに向かうようにコントロールされたそれはマジックポーションを飲もうとするプラシドに向かって飛び……


 ドン!


(なっ……)


 プラシドにぶつかった……と思われた火の玉は奴にぶつかる寸前に何かに防がれた!


「あっはっは!  攻撃する手段がないお前が俺の魔法を利用しようとすることは最初から分かっていたぞ!」


 プラシドは勝ち誇ったようにそう宣言すると、飲み干したマジックポーションの瓶を投げ捨てた。


「魔法を反射する魔法、〈ミラーマジック〉の存在を知らなかったのだろう! だからお前もあの剣士も田舎者だと言うのだ!」


「………」 


「もはや反論も出来んか。なら、終わらせてやる!」


 魔力が全回したプラシドは再び魔法を放ち始めた!

 サラ絶対絶命!? 決闘の行方は……


 主人公不在で話が進むのが嫌いな方もおられると思いますが、後一話だけお付き合い下さいませ。実はこれからの展開にも関わってくる話なのですm(_ _)m

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