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#18 ゴーレム

(シデン視点)


「全く……騒がしいと思ったら侵入者だと? 警備もろくに出来んのか、お前らは? 大体──」


「「「「申し訳ありません、所長」」」」


 周りに罵詈雑言を浴びせながら人形の何かに乗った男が現れた。


(あれはゴーレムか?)


 その昔、魔導具が珍しくなかった時代には自動で動くゴーレムという人形が警備などを担っていたと聞いたことがあるが……


(って、サラやエリザベスばあちゃんから聞いただけだけど)


 まあ、とにかくもう滅んだはずの技術。一体どうして……


「驚いたか? 天才的な頭脳を持つ俺は発掘されたゴーレムの再起動に成功したのだ!」


 ゴーレムの肩に乗った小男が聞いてないのにそう教えてくれた。


(魔導具の再起動……)


 魔導具は製法は勿論、その使い方でさえ知る者はほとんどいない。だから、もし本当に魔導具の再起動に成功したのなら少しくらい有頂天になっても仕方ないな。


「それにしてもよってたかって一人の侵入者も何とか出来ないとは……終わったら念入りに仕置きをしないとな」


 ゴーレムに乗った男の言葉に周りにいた兵士や魔導士が生唾を飲み込む。うーん、随分怖がられてるみたいだな、この人。


(さて、どうしようか)


 魔導具は特別な金属で出来ているらしく例外なく硬い。しかも、ゴーレムは戦闘用の魔導具だから当然普通の魔導具以上に硬いだろう。


(剣、折れたら困るな……)


 実は俺は剣を一本しか持ってない。剣士である俺が剣を失ったら何も出来ないから失うわけには行かないのだ。


(いや、それ以上に剣は俺の体の一部だ。折れる想定の戦いはしたくないな)


 さて……


「がっはっは! 残念だったな! まさかゴーレムが出てくるとは思ってなかったか!」


 うん、まぁ、確かに。


「多少強くても技術の進歩により生み出された兵器の前では無力……無様に散れ!」


 所長と呼ばれた小男がゴーレムの肩から降りた瞬間、ゴーレムが風切り音を纏いながら俺に向かってきた!


 スッ……


 攻撃をかわしながらゴーレムの体を観察する。これは俺の癖だが、初めて戦う魔物だとまずは観察。そして、硬い場所や柔らかい場所、よく動く場所とあまり動かない場所等々を見極めてから戦うと上手く行くんだ。


「か、かわしただと!?」


 俺がゴーレムの拳をかわしたのを見て所長が驚いた声を上げる……が、何でひっくり返ってるんだ?


(もしかして、ゴーレムの肩から降りるときにひっくり返ったのか?)


 多分、ゴーレムの動きが思った以上に速かったんだろう。なら乗って来なけりゃ良いのに……と思うが、余計なお世話か。


「ま、まぐれに決まってる! やれ!」


 ひっくり返ったままの所長に命じられて再びゴーレムが動き出す。せめて起き上がればいいのにな……


(それにしてもこのゴーレム、人間に近い動きをするな) 


 体型は一般的な人の体型よりずんぐりむっくりだが、動きは人間に近い。多分重い金属の体で人の動きを再現するためにこうなったんだろう。


(……ってことは弱点も一緒だよな)


 なら狙うのは──


 ビュッ!


 風切り音と共にゴーレムが突進する。人工物だけあってさっきと同じスピードとタイミング。なら……


 スッ……


 再び回避。だが、さっきとは少し違う。それは……


「なっ! ゴーレムの腕が!」


 そう。人間で言う右手の肘関節の辺りに剣を置くようにして回避したのだ。結果、凄いスピードで突進したゴーレムは自らのスピードで右腕を切ってしまったのだ。


(……思ったよりも大分柔らかいな)


 軽く刀身に目を走らせ、問題がないかどうかを確かめる。関節なら俺の力でも切れそうだな。


「し、所長のゴーレムが!」

「う、嘘だろ!」


 周りにいた兵士や魔導士が動揺した声を出す。


「調子に乗るなよ! これくらいピンハネした予算とこいつらの奴隷労働でいくらでも修理できる!」


 ひっでー話だな。敵ながら部下の人達にはちょっと同情するわ……


「これで決める! いけっ、ゴーレム!」


 三度〈みたび〉突進してくるゴーレムは今までよりも速い。けど、悪いが動きはもう見切った。だから……


 スッ……ザン! ザン!


 今度はゴーレムの左腕と右脚を剣で切りつけた。左腕と右脚を失ったゴーレムは俺から少し離れた後、物凄い音を立てて転倒した!

 読んで頂きありがとうございます! 次話もよろしくお願いします!

 

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