8.陸が見た規格外。
いつ振りの更新だ……?
あとがきの新作もよろしくっす。
「な、なんやねん……アレ……!」
陸は達治と対峙する魔物を目の当たりにして、恐怖から声を震わせた。ようやく絞り出したそれは掠れていて、いまにも逃げ出してしまいたい気持ちが表れている。
しかしそれが不可能なのは、身体が思ったように動いてくれないからだった。
膝に力が入らない。
いいや、仮に力が入ったからといって何なのか。
この数の魔物を前にして、逃げ切れるはずなどなかった。
だからこそ、おかしいとしか思えない。
どうして――。
「なんで、達治さんは……平気なんや……!?」
得物を手にしてオオカミと相対する彼に、陸は慄くことしかできなかった。
恐怖心というものがないのか。これほどの圧を放つ相手に対して、どうして彼は真っすぐに立つことができるのか。青年にとってはそれが疑問でしかない。
だが、気付くのだ。
「――行くぞぉぉ!!」
「達治さん……!!」
達治が周囲のオオカミを屠った瞬間。
「う、そやろ……」
周囲を支配していた圧の正体が、あのオオカミの親玉ではない、ということに。
すなわち、この異常な空間において――。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
達治が声を上げ、魔物の親玉に肉薄する。
一撃。また一撃と、攻撃を繰り出すたびに周囲の空気が揺れ、ダンジョンの岩盤が砕け散っていく。その都度、魔物たちは達治の異様さに身を強張らせた。
その隙を逃さず彼は的確に、正確に息の根を止めていく。
おそらく達治自身も気付いていない。
彼自身はあくまで、一生懸命に戦っているだけなのだ。
陸を守るため。そして、大切な仲間たちのもとへと戻るために。だが、
「………………すごい。すご、すぎる」
その存在感。
そして迫力はまさに、他の追随を許さない絶対的なもの。
「最後の、一撃……!!」
そうして、親玉を切り裂いた瞬間。
それまでの迫力はなりを潜め、ただ一人そこに立った達治は大きく息をついた。
「……大丈夫、だったか? 陸」
微かに滲む額の汗を拭って、笑顔で青年の方へと振り返るのだ。
陸はそんな達治を目の当たりにして思う。
「この人は桁違い、や……」――と。
https://ncode.syosetu.com/n9764lg/
こちらハイファン新作です。
応援よろしくです。
下記のリンクから飛べるようにしておきます!
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。
創作の励みとなります!
応援よろしくお願いします!!




