4.母の指摘。
『なぁ、母さん。その……』
『……なんけ?』
『どうして、そんなに怒ってるんだ。……母さんは』
『………………』
雨の日の一件が解決して、家路を急ぐ車内の空気は冷え切っていた。
後部座席で運転する母さんを見つめる俺は、どうして自分が怒られているのかが分からない。頬を叩かれて咄嗟に謝罪したが、実のところまだ納得してなかった。
だって俺は、間違ったことはしていない。
涼子のことを助けたのは、絶対に間違いではなかった。それなのに――。
『アンタ、ホントに分からんが……?』
『…………え?』
そう考えていると、母さんは低い声色でそう口にする。
『こっちが怒ってるのは、涼子ちゃんを助けたとか、行動の話じゃないが』
『……じゃあ、何に怒ってるんだよ』
『………………』
それに返すと、また相手が息を呑むのが分かった。
沈黙が再び車内を支配して、とにかく居心地が悪くなってくる。それにまだ心の幼かった俺は、煮え切らない母さんの態度に納得ができない。何か言いたいことがあるなら、ハッキリと言葉にしてほしいと思ったのだ。
だから、喧嘩を売るようにこう口にする。
『なんだよ。……ハッキリ言えっての』
『そうね。馬鹿なアンタには、言わなきゃ分からないか』
すると母さんも、どこか覚悟を決めたように言った。
『アンタ、もしかして――』
鉛のように重い一言を。
『思い上がっとんがじゃないがよ?』――と。
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