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3.赦しを請うということ。

ちょっとこのへん、リライトしたいな、と思いつつ。







「玲音ちゃん、たっちゃんが……!」

「ダンジョン内にダンジョンなんて、そんな馬鹿げた話……!? いや、それよりも今は師匠たちの無事を確認するしか!!」



 涙目で訴える涼子の声を耳にして、玲音は唇を噛みながら必死に思考を巡らせる。

 そして、即座に緊急通信用のダンジョン特化型トランシーバーを取り出した。たしかもう一つは陸が持っていたはずで、上手くいけば安否の確認が可能。

 そう考えたのだが、現実は上手くいかないものだ。



「……これ、ゼクスさんに渡したやつ、だよね?」

「くっ……! こんな時に限って、どうして!!」



 着信を知らせるノイズが、ほどない場所から聞こえてくる。

 涼子が拾い上げたそれは間違いなく、トランシーバーの片割れだった。玲音はいよいよ苛立ちを隠せず、思い切り舌を打って歯を軋ませる。

 こんなイレギュラーな状況は、まず聞いたことがなかった。

 そもそも、このダンジョンはいったい――。



「いや、そんな推察は後からでもいい。どうにかして――」



 だが、そこまで考えてから。

 玲音は静かに歩を進め、そして――。



「この大穴から、師匠を助け出さないと……!」




 眼前に広がる暗闇を睨みつけるのだった。







「――陸、足元気をつけろよ?」

「ありがとうございます。そっちは、大丈夫ですか」

「あぁ、思ったよりも足場は安定してる、かな」



 先行する俺の後方を歩く陸に、細かく無事を確認する。

 その都度に彼もまた、俺のいる場所の安全性を確かめていた。このような状況なのだから、できる限りの声かけは行うべきだろう。

 配信も今日ばかりは、いったん中止。

 リスナーのみんなには悪いけど、余裕がまるでなかった。



「……本当に、すみません」

「ん……どうした、陸?」



 などと考えていると、不意に青年が謝罪を口にする。

 驚きつつ訊ねた俺を見て、彼は沈んだ表情でこのように続けた。



「ワイのせいです。ワイがもっと注意していれば、こんなことには……」



 その言葉はとかく自罰的なもの。

 おそらくは陸自身の持つ、自己評価の低さに起因しているのだろう。言い換えれば、自己肯定感の低さ、とも表現できるだろうか。だからきっと、何か良くないことが起これば、決まって自分を責めてしまうのだ。



「それに、ワイは前に出て戦うこともできない。……戦力にならないんです」



 そして、何かにつけて己を『役立たず』だと卑下する。

 誰に言われるわけでもなく、何もかもをマイナスに思考してしまう。そんな彼の姿を目の当たりにして、俺はどうしようもなく――。



「そうだな。もしかしたら、そうかもしれない」

「……え?」



 ――昔の自分を見ているようで、しんどくなった。

 何もかも己に責任があって、どうにかして裁かれたくて仕方がない。誰かに赦しを請うようにして、しかしその本質はもっと別にあった。

 ただ必ずしも俺と同じとは限らない。

 だけど、この陸という青年の姿には既視感がある。だから、



「でも、もしかしたら違うかもしれない。……なぁ、一つだけ良いか?」

「……は、はい」



 俺は『ある人』から教わった考えを伝えるのだ。





「あまり、そうやって『思い上がる』なよ?」――と。




 それはきっと、俺が最も尊敬する人の言葉だった。



 

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