1.一人の内気な青年。
お久しぶりの更新。
まさかの更新_(:3 」∠)_
ただいま!!
『たしかに、見た目は良いんだけどねぇ……』
『なんというか、こう? 陰気というか、華やかさがないんだよね』
とある配信者事務所のオーディション。
長い黒髪に、虚ろな瞳をした青年が初老の男性たちに値踏みされていた。彼らは口々に、目の前の青年のことを評する。しかしながら、出てくる言葉は必ずしも肯定的なものではない。むしろ否定的、あるいは嘲笑するような色が浮かんでいた。
『それに、これだけ言われても言い返さない。……キミ、何がしたいの?』
『最近の若い子は、本当に何を考えているか分からないよ』
『あっははは。それは問題発言ですよ!』
ひときわ大きな笑い声。
それでも青年は決して言い返すことなく、ただ時間が過ぎるのを待っていた。もとより自分は、このような場所に相応しくない。陰気だとか、華やかさがないとか、そのような悪評だって当たり前だと考えていた。そして、したいことだって最初からない。
ただ周囲に弄ばれてきた。
ここにいるのだって、大学の先輩が悪戯で応募したから。
本当は今すぐにだって帰りたかった。そう、考えていたのに……。
『まぁ、いいや。いま人手が足りないからさ、穴埋めしてよ』
『え……?』
告げられたのは、予想だにしない内容だった。
『どうして、自分が――』
『応募したってことは、興味はあるんでしょ? 顔は良いんだから、メイクとか何かしらで誤魔化せるだろうし。いやー……急に一人、飛ばれて困ってたんだよ』
『――で、でも……!』
青年は思わず立ち上がり、拳を握りしめる。
自分にはまったく相応しくない場所に、また立たされようとしていた。断るなら今のうち。いま勇気を出さなければ、ズルズルと泥沼にハマってしまう。
そのことは、彼が一番よく知っていた。
だって、ずっとそんな人生を送ってきたのだから。
『ん……どうしたの』
『あ、いえ……』
だから、相手の面倒くさそうな表情に。
『なに。……言いたいことがあるなら、言いなさい』
『………………』
青年はうつむき、震える声で答えるのだった。
『いえ……よろしく、お願いします……』
面白かった
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