【速報】たっちゃん、無自覚系主人公だった模様【悲報?】
次回、サービス回?
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『このダンジョンが普通だと思ってた、ってマジか』
達治の発言を受けて、掲示板のみなも苦笑いを浮かべていた。
これは常々言われていたことであるが、ダンジョン入口付近にドラゴンが構えている場所が、いわゆる『普通』であるはずがない。世間一般的なダンジョンというものは入口でスライム、最下層近辺になってようやくドラゴンが出るかどうか、という感じだった。
中には一切モンスターが出現しないダンジョンも存在している。
そういった危険性の薄い場所は、地域振興のため貴重な観光地となっていた。
『ていうか、ここが初めてのダンジョン、って言ってたか』
『だったら勘違いしてても、おかしくはないのか……?』
『これもう本当に、何かやっちゃいましたか、じゃん』
とかく住人たちは、改めて達治の異様さを思い知る。
そして改めて、ダンジョン配信者のランキングに意見しなければ、と考えた。
その時だ。
『ん、配信画面……なんか曇ってね?』
何やら達治たちの配信画面に、変化が生じ始めたのは……。
◆
「わ、わ……! マジか!」
「凄いよ、たっちゃん! これって本物!?」
俺が声を上げると、カメラを構えていた涼子も歓声を上げた。
何故なら、ダンジョンを進んだ俺たちの前に出現したのは想定外のものだったから。白い湯気が立ち上っており、それを掻い潜るようにして進む。
すると、そこにあったのは――。
『お、温泉だあああああああああああああああああああああああああ!!』
自然にできたものだろうか。
人の手の加わっていない、天然の温泉があったのだ。
俺と涼子は配信のことも忘れ、嬉々としてその湯に手をくぐらせる。人肌より少し温かいくらいで、なおかつ水質も良好であるように思われた。これならきっと、疲労回復に効果があるだろう。素人目にもそれが分かるほど、見事なものだった。
「師匠に、リョウさんも。そんな興奮しないでください……」
「なに言ってるの、レインちゃん! ほらほら、準備しよ!?」
「え、準備って……?」
呆れる玲音を涼子が引きずっていく。
どうやら従妹は、俺と同じ考えに至ったようだった。
「なんや。いったい、なにをするつもりなん?」
だが同じく取り残されたゼクスは、気付いていないらしい。
だから俺は、そんな青年にこう言うのだった。
「なに、って……みんなで入るんだよ」
「入る……何に、や?」
彼は首を傾げて眉をひそめる。
なので、俺はこうハッキリと口にした。すると――。
「みんなで、この温泉に」
「……………………」
ゼクスの表情は硬直し、やがて絞り出すようにこう言った。
「…………へ?」――と。
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