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7.ゆるやかに配信開始。

(*'▽')そおい!









 そして、配信当日の朝。

 俺たちは各々に支度を済ませて、玄関先に集合した。これといって普段と変わるものはない。それでもやはり違いがあるとすれば、道中がゼクスの存在によってやけに賑やか、という点だった。彼はケラケラと笑いながら、女性陣にちょっかいを出している。



「おーい、ゼクスさん?」

「なんや? こっから、ようやく話が盛り上がってくるとこやのに」

「いや、少しだけ忠告したいことがあって」

「忠告……? ははぁ~ん……」



 そんな青年を見かねて、俺は声をかけた。

 するとゼクスは何やら嫌らしい表情を浮かべて、こう言うのだ。



「さては、美女二人にちょっかい出すな、言いたいんやな?」



 彼が美女といったのは、もしかしなくても涼子と玲音だろう。

 たしかに、そういった側面もあった。噂自体は噂なので、確定的な証拠があっての話ではないので信じてはいない。それでも、あまりに軽薄な態度はおススメできなかった。

 しかし俺が言いたいのは、そういうことではなく……。



「いや、ちょっと違うぞ」

「だったらなんや? これでもし、しょーもないことなら――」

「熊、出るから注意な。あまり騒がないように」



 野生動物に襲われる危険性がある、ということだった。

 武器のほとんどはダンジョンで効果を発揮する仕様なので、外での有用性は基本的にない。玲音の日本刀や俺の鍬に至っては殺傷能力を否定できないが、それでも警戒するに越したことはなかった。モンスターよりも一般的な動物の方が怖いのは、なんとも不思議な話ではある。



「…………うい、分かったわ」



 そのことは、ゼクスも理解しているのだろう。

 俺の指摘を受けると血の気が引いたのか、すぐに引き下がった。



「うーん……」



 そんな彼を見つつ改めて考える。

 いまの態度からは、やはりどこか違和感はあった。

 軽薄、軽率な人物というなら、こちらの制止など聞く耳などないはず。考えすぎかもしれないが、案外にゼクスは根が真面目なのかもしれない。



「……っと、そう言ってる間に着いたな」



 などと話していると、いつものダンジョン入り口に到着した。

 俺たちは配信機材の準備を整え、各々の状況を確認し合う。そして、



「それじゃあ、配信開始だ!」



 その掛け声とともに、撮影を開始するのだった。







 ――ダンジョンは、蛇の出るところまでは踏破済み。

 もちろん危険がないわけではないが、以前よりもある程度は安全が確保されていた。玲音曰く『モンスターが復活するには、最短で半年程度』が必要だ、という。

 最初のドラゴンを倒してから、二ヶ月と少し。

 それだとしたら、いまはまだ大丈夫ということになる。



「なんや、噂で聞いてたのと違うなぁ?」

「噂、って?」



 そんなことを考えていると、ゼクスが退屈そうに言った。



「聞くところによると、ここって『超高難易度ダンジョン』なんやろ? 入り口から間もなく、ドラゴンがお出ましになる……とかいう」

「超、高難易度……?」

「違うんか?」

「いや、ドラゴンが出たのは事実だけど……」



 俺は思わず首を傾げて答える。





「ここって、そんなに凄い場所なのか?」――と。





 正直なところ、俺が知るのは適当に見た配信のダンジョンと、ここだけ。

 だから、他のダンジョンがどうなのかといったような、いわゆる『基準』というのが分からなかった。俺からしてみれば、ここが『普通』ということになるのだが……。




「へ……?」

「師匠、それはちょっと……」




 そんな言葉に反応したのは、ゼクスと玲音。

 青年は口角を引きつらせ、少女は呆れたようにこう言った。




「それはちょっと、無自覚が過ぎませんか……?」




 若干の苦笑いを浮かべつつ。

 だが俺と涼子は、彼らの反応に首を傾げてしまうのだった。



 


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