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4.二枚目な三枚目男子、ゼクス。

腰痛ひどいっす_(:3 」∠)_

他作品のコミックスが本日発売です。

もしよろしければ、そちらも応援してくださいな。







 ――腕のギプスも外れて、痛みもなくなってきた頃合い。

 いよいよ俺と涼子が、この片田舎にアクシズのゼクスを迎える日がやってきた。玲音と一緒にくるという話だったから、迷うことはないだろう。

 それはそれとして、俺が気になっていたのは涼子の気合の入り方だった。



「お前さ、それはやり過ぎじゃないか?」

「なに言ってるの、たっちゃん! これは序の口だよ! ねぇ、叔母さん!!」

「涼子ちゃんから聞いたがやけど、凄いイケメンの有名人がくるんやろ? そうとなったら出迎えも真剣にやらんなあかんちゃ!!」

「母さんまで……?」



 もとい、俺の母まで嬉々として横断幕を手にしている。

 そこに書かれているのは、アクシズのゼクス様いらっしゃいませ、という文言だ。手作り感あふれる愛嬌たっぷりなそれに、俺は思わず苦笑いしてしまう。

 どうしてこうも、田舎民というのは舞い上がってしまうのか。

 俺も他人のことを言えないが、七年の都心勤務経験によって少しはマシになっているようだった。有名人とはいえ、相手も同じ人間である。



「あまり困らせるなよ……?」



 だから、ゼクスも委縮してしまうのではないか、と考えていた。

 そんな時だ。



「お、なんや!? めっちゃ気前のええ出迎えやないか!」



 どことなく似非を感じさせる関西弁が、耳に届いたのは。

 声のした方を見ると、そこにいたのは動画でも確認した派手な赤髪の男性だった。苦笑する玲音をよそに、大口を開けて笑いつつ近寄ってきた彼は言う。



「お出迎え、ありがとさん! ゼクスや、よろしくな!!」





 軽く見聞きしていたそれと、少しの相違もない人物――『アクシズのゼクス』は、俺に見向きもせず涼子に手を差し出すのだった。







「……ほんで、こっちのオッサンが噂の?」

「一応、チャンネルの代表になってる『たっちゃん』だ。よろしくな」




 ゼクスが俺にそう訊いてきたのは、一通り涼子との雑談を終えてから。

 俺は努めて冷静に返事をし、彼もそれに対して何度も頷いていた。そして次に玲音の方を見てから、このように耳打ちをしてくるのだ。



「それにしても、隅に置けませんなぁ?」

「……は?」



 意味が分からず、思わずそう言う。

 するとゼクスはいやらしい表情を浮かべ、女性陣を交互に見るのだった。その上で彼はニタニタとしながら、このように続ける。



「アンタみたいなオッサンが、こんな別嬪さん二人も侍らせるなんて! 一歩間違えたら犯罪級の行いやで!?」――と。



 その口振りが本気なのか、それとも冗談なのかは分からない。

 しかし、涼子と玲音を見て喜んでいるのは確実だった。



「ほんで、どっちがアンタのコレなんや? ……両方か?」

「コレ、って……」



 鼻息荒く、されども声は抑え気味に。

 小指を立てながら興奮するゼクスに気圧されつつも、俺は答えた。



「俺と二人は、そんな関係じゃないよ」




 涼子は言うまでもなく従兄妹で、妹のような存在。そして玲音は俺のことを師匠として、本気で慕ってくれている大切な弟子だった。そんな彼女たちに、色目を使うことなんてあり得ない。そのような行いは、裏切りのようにも思えるのだった。

 しかしゼクスの方は、ケタケタと笑いながら肘で小突いて言う。



「またまたぁ、ホンマのこと言いや? せやないと――」



 これまた本気なのか、冗談なのか分からない口調で。





「ハッキリせんと、オレが二人とも貰ってしまうからな!」――と。





 俺はそんな、ゼクスのまさかの発言に唖然とした。

 だが、件の彼は気にせず笑みを浮かべる。




 それが俺とゼクスの出会いだった。



 


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