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1.揺らぐ心に、理由を求めて。

ぜぇ、はぁ……(頭痛、腰痛、眼精疲労)……_(:3 」∠)_

とまぁ、満身創痍ですが生きてます。明日もガンバルゾー!


※ここから第4章です。








「ちょっと達治!? アンタ、どこ行くがけ!!」

「二人を探しに行く! 母さんは俺が帰らなかったら、警察に連絡!!」

「そうじゃなくて、アンタ体調は――」

「俺のことは良いから! 頼んだぞ!?」

「待たんけ、達治!!」



 俺は母さんの制止を振り切って、家を飛び出した。

 そして一心不乱に、ダンジョンまでの農道を走り続ける。昼にモンスターから受けた毒が、身体を蝕んでいくのが感覚で分かった。気分はひたすらに悪いし、目眩が止まらない。

 だけども、今ばかりは止まるわけにはいかなかった。

 ダンジョン配信初心者の俺でも、一般常識として知っていたからだ。



「……くそ、どうして夜のダンジョンなんかに!!」



 ダンジョンは昼と夜でその表情をガラッと変える。

 モンスターは凶暴性と、その内に秘める魔力を増して探索者に襲い掛かるのだ。相当な実力者か、国の軍備レベルでないと手に負えないというそれに対して、涼子と玲音の二人では荷が勝ちすぎていた。だから、すぐにでも止めないと――。



「…………くそ、スマホの電源切ってやがる!」



 走りながら二人に電話をかけようとする。

 しかし、両者ともに繋がらなかった。

 いったい、どうして二人はこんな無茶をしようと考えたのか。

 俺の知識ではとても思いつかない。だけど、一つだけ分かっていた。根拠というものはないけれど、それでも確信に近い想像が……。



「……これは、配信の?」



 そんなことを考えていた時だ。

 手にしたスマホに、チャンネルアカウントから通知が届いたのは。







「玲音ちゃん、本当にやるの?」

「……今からでも、涼子は帰って良いよ」

「ううん、放っておけないよ。たっちゃんも、玲音ちゃんも」



 ――達治のスマホに通知が届く、その少し遡って。

 深夜の山林。いつものダンジョンを前にして、涼子と玲音がそんな会話をしていた。涼子の手には配信用のカメラと、玲音から預かった特殊な袋がある。

 玲音の方は、あの時に取りだした日本刀を手にしていた。



「でも、信じて良いんですか? わたしは、二人を嵌めようとしていたのに」

「信じるよ。今の玲音ちゃんは、たっちゃんを助けようとしてるから……」

「……はは、本当に貴方たちって、そっくり」



 涼子の迷いない返答に、玲音は少し困った声で笑う。

 だけど、悪い気持ちではないのが本音だ。誰かに信じてもらう機会なんて、これまでなかったのだから。



「それじゃ、確認しますよ。……まず今回の目的は、あの毒蛇の毒液から血清を作り出すこと。そのための道具は、渡した袋の中に入っています」

「うん。でも、どうしてそれを配信するの……?」

「それは――」



 確認すると、涼子にそう問われた。

 その言葉を聞いてから、少し考えて玲音は答える。



「正直、分かりません……」――と。



 どうして、わざわざ配信する必要があるのか。

 その理由というのは、彼女自身でもハッキリ分からなかった。ただ、



「でも、たぶんこれは『禊』なんだと思います」

「み、そぎ……?」



 そう玲音は口にする。

 涼子が訊き返すと、彼女は微かに目を細めて続けた。



「わたしは達治さんの配信で、彼を出し抜いて力を示そうとした。自分の存在を証明したかった。ダンジョン配信者として、そして――『ミス・アルビレオ』として」

「玲音ちゃん……」

「なのに今からわたしは、自身の失態を晒して彼を助けようとしている。だから正直に言って、自分の中でも滅茶苦茶なんですよ」

「………………」



 それを聞いた涼子は、しばし呼吸を止めて。

 やがて、とても優しく微笑むのだった。そして玲音の手を取り――。



「うん! それで大丈夫だよ。だって――」



 まるで妹を諭す姉のように、こう声をかけるのだ。




「いまの玲音ちゃん、とても優しい顔をしてるから!」――と。




 それを聞いて、玲音は少しだけ呆気に取られていた。

 だが、すぐに口角を緩めるとこう言う。




「本当に、貴方たちはそっくりです。……とても、羨ましいくらいに」




 そして一度、大きく深呼吸をしてから。

 彼女は表情を引き締め、こう宣言するのだった。




「行きますよ、涼子さん。……配信開始です!」――と。




 


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