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お呼ばれだよ! FIP LIVEで対談コラボ! 後編

「これはわたくしからの質問なのですが、交差点の二人は最初からユニットでデビューされていますが、ハクトくんからクロノくんへの第一印象と今の印象を教えていただけますか?」


 不意打ちで尋ねられたら、特にクロノはボロが出そうな質問だが、事前にどんな質問がされるかは事細かに共有されている。いつぞやのように炎上発言が誘発される心配は微塵もない。紫辻の用意周到さはさすがという他ない。


「あ、ハイ。不在なので良くも悪くも言いづらいですけど、実はクロノの第一印象って、あんまりよくなくて。正直苦手だなぁって。チャラいし馴れ馴れしいし、うわぁ陽キャだぁ……って。まあチャラくて馴れ馴れしいのは本当ですけど、クロノは陽キャではないですね」

「言いづらいというわりに、ハクトくんは正直ですね。陽キャではないと言い切りましたが」

「ボクが思う陽キャって、人付き合いが得意で活発で社交性について思い悩むことがない人なんですけど、クロノは思いつきでなんでも口にするわりに後から悔やんでることも多いし、ボクよりは社交性に秀でてますけど、人付き合いが得意なわけではないですね」


 けっこう的確な人物評だと思う。第一印象が苦手だったのは納得だ。


「では今の印象は?」

「クリエイター気質だな、と。あと承認欲求強いがゆえにああいう言動になるのかなと。ボクはクロノみたいにゼロをイチにすることはできないから、尊敬はしてます。そのわりに口出しするので、寛容でいてくれるのはありがたいです」

「お話伺ってるとハクトくんは表現者パフォーマー、クロノくんは創作者クリエイター気質という印象を受けます。異なるタイプだからこそ、補い合って良いものが作れるのかもしれませんね」

「そうですね」

「正反対なわりには仲良いですよね」

「さあ? 仲良しユニット売りすると後がこえーからそーゆーのはナシじゃん? ってクロノが」


 声真似うまいな。似なくていいところがクロノと似てきてる気がするけど……。


「笑」

「あるくんのトーク力ためになる」

「このユニのオリ曲予習しとこ」

「フェス楽しみ」


 紫辻のリスナーにも好評なようだ。


「それではみなさま、最後に恒例の写真撮影に写りましょう。ご準備よろしいですか?」


 ああ……アレかぁ。


「準備できてるよ!」

「よきです」

「できてる」


 リスナーたちの言っている準備とは、要は投げ銭の準備である。FIP LIVEには、スタンプギフト、略してスタギフと呼ばれる独自の投げ銭システムが存在する。


「せーの」


 紫辻の掛け声にしたがって、スタギフが投げられる。チェキ撮影よろしく、ポーズを決めた紫辻とハクトの周りに、バルーンやら花束やらがポンポン浮かんでは消えていく。


 スタギフは1ポイント1円のFIPポイントで買える、こうして配信画面にうつるスタンプである。だいたいは一、二秒で消えるが、値段があがるごとに画面の占有率と表示される時間が増え、もっとも高額の10万円のスタギフでは、『○○さん(ユーザー名)ありがとう、愛してる♡』というユーザー名以外は手書きのメッセージを、投げた相手のオリジナルソングと派手な演出つきで30秒表示できる。コラボ配信中に投げるのはファンの中ではマナー違反とされているが、そのスタギフも二個投げられていた。


 ようつべでの投げ銭と違い、スタギフは運営すなわちプラットフォームであることから、プラットフォーム側に納める分がないので、完全に運営とタレントの折半になる。要は還元率の高い投げ銭であり、運営としてもタレントとしても美味しく、オタクとしても嬉しい……のだが。


 やっぱこういうガチ恋煽ってお金を稼ぐやり口好きじゃないなぁ、とガチ恋しないタイプのオタクとしては思う。そりゃあ大きなフラスタを立てたいとか、高級なものをプレゼントしたいのなら平気で10万円以上かかるけれども、フラスタやプレゼントは30秒で消えないし、引き換えに手書きの愛がもらえたりしない。愛してるに10万円払えるオタクが目立つのも、10万円で愛してるが買えてしまうのも、課金額に制限が設けられてないのも、別に悪いことじゃないんだけど、率直に言ってキモいとは思う。オタクはすべからくキモいんだけどね。


 山盛りのスタギフの中で笑顔の紫辻とハクトという絵面は、素直に喜べる光景ではなかった。




***




「お疲れ様〜」

「緊張しました〜」


 専用の楽屋にはなんとお弁当まで用意されていた。至れり尽せりの高待遇。うーむ。複雑だ。


「それ食べ終わったら挨拶行こうね。あきらさんとも話したいし」

「そうですね」

「どうだった? 今日のコラボ」

「いやあ、緊張しすぎでまだ感想がでてこないです。あとでクロノに怒られるかも」

「配信としては面白かったよ。先方のファンも楽しんでくれてたみたいだし、交差点のファン的にも嬉しい話題がでたしね」

「あ、ありがとうございます」


 二人で楽屋を片付け、紫辻婀月の楽屋を目指した。

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