祝! 収益化だよ! 宴会だよvirtuala全員集合!
「乾杯! 」
弊社は何かと会食がある時代錯誤な事務所である。
「一期生収益化おめでと〜う! 」
事務所に酒を買って持ち込むという大学生みたいなスタイルで、事務所の会議室には七人の人間が集まっている。
まず事務所代表の宇宙ランの中の人、我が親友である宝蔵寺美宇。大輝とみっくん、それから私は説明不要だろう。そしてあと三人は、美宇とともにvirtualaを立ち上げたギンガミキと天河ゆん(の中の人)、ニューフェイスの会計担当、姫川織子さん、通称『会計の織姫』である。通称はうちの代表が命名した。
「まあみんなお互いのこと知ってるだろうけど、軽く自己紹介しとこうかな? まずはあたしは宝蔵寺美宇。この事務所の代表です! 宇宙ランとしても仲良くしてもらってます。みんなで事務所盛り上げていきましょう! 」
「おー! 」
そのまま流れで全員自己紹介することになった。
「高橋紀美香です。ギンガミキとしてお世話になってます。イラストレーターと2Dモデラーをさせていただいてます。一期生の二人のおかげでイケメン描けて楽しかったです」
「あ、伊藤雄二です。えー、見てのとおりのおじさんです。3Dモデラーをしてます。これから一期生のモデリングするのが楽しみです。天河ゆんとして、これからコラボとかしてもらえたら嬉しいです」
「姫川織子です。会計担当です。年末調整はすでに始まっています。領収書はとっておいてください」
どっと笑いが起きる。立ち上げ組は個人勢としての積み上げがあるし、十年選手の成人向け漫画家と元銀行員という社会人としてのバックボーンがあるけど、私たちは心配だなあ。姫川さんは美宇が引き抜いた元大手企業(Vtuber関連ではない)社員である。なんて思っていると私の番になってしまった。
「あ、すみません、恋沼ひかるです! 一期生のマネージャーです。え、えっとこれから、よろしくお願いします! もともとVtuberオタクです! 」
緊張して余計なこと喋ってしまった……。
「佐藤……三ツ星です。赤城クロノとしてお世話になります。よろしくお願いします」
みっくんのテンションが低いのは本名を名乗るのが嫌だからか。でも、こう、もうちょっと愛想をだな……。気にしない人たちだからいいけどさ……一期生のなかでこういう場面に強いのは君なんだよ? だって大輝は……
「あ、あ、あ、い、い、い乾大輝です。かか、感情交差点の青い方です。お、おはようございます。あ、あ蒼川ハクトの中の人です。ど、ど、どうも、よよろしくお願いします」
ほら〜。私も大概だが大輝の緊張症には負ける。
「そんな緊張しなくてもとって食ったりしないよ〜」
あ〜、ミキママ(の中の人)ありがとうございます〜。
「そうそう。俺たち昭和組は寛大だよ〜」
「勝手に年齢バラさないでもらえます、ゆんおじ? 」
ミキママって昭和生まれなんだ。初めて知った。高橋さんはデザイナーとかファッション誌の編集者っぽいオシャレな人だから年齢不詳だ。ギンガミキはミルクティー色の外巻きボブにプロデューサー巻きのカーディガンがかわいい美少女だけど、高橋さんはショートの暗めの茶髪で紺のカジュアルなワンピースを着ている。
対する伊藤さんは元銀行マンらしくシャツの似合うおじさまである。天河ゆんはいわゆるバ美肉だが、ボイチェンとは相性が悪く地声で配信している。ダウナー巨乳メガネ狐耳ピンク美女と低音イケボのギャップが人気である。
私ふくめ一期生関係者の自己紹介はともかく、会食はつつがなく進行し、virtualaは親交を深めたのだった。




