表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファウストの子供達  作者: 喜右衛門
58/233

057 トラブル

28p

少しづつだけどポイントも延びてる。


ここのところは毎日、1つのイイネがついてる。


正直、今回の話はアンマリ受けないかもと思ってた……ポイントは0も覚悟はしていたのだ。

だって、視点の定まらない三人称擬きなのだから。

やっちゃいけない事のテンコ森だ。

……まあ、それは今に始まった事では無いのだけれども。


そんなだから、このポイントは本当に嬉しい。

イイネもメッチャ嬉しい。


もっと増えるかもとかもきたいしてしまう。


だから、明日も頑張れる。

頑張る。



また明日……待っててね。


 バルタは地面に突き刺さる片手剣を両手で引き抜いた。


 「なにするの?」

 剣を抜いたのだからやろうとしていることはわかる、それでもアマルティアは聞かずにはいられなかった。


 「なにって……」

 バルタは客車の方を見て……魔物の方を見た。


 アマルティアも同じ様に見る。

 観客はパニックに成っていた。

 何処に逃げようとしているのか……叫び走る者。

 逃げ場は無いと観念したのか……その場にうずくまる者。

 まだ状況が飲み込めていない者も居た……これは現実逃避なのだろうか?

 人間やエルフの大人や子供……少ないがドワーフも見える。


 そして、魔物の方はいまだに興奮しているのか……鼻息が荒い。

 ただ、少しだけの躊躇も見れる、それは大人数の人間達が逃げ惑う事で起きた地響きの様な音に対しての様だ。

 豚や牛の耳が忙しなく動いていた。

 地面から伝わる振動に恐怖も感じられているのだろう、これだけの音や振動を起こせるモノには巨大な捕食者にしか出会ったことが無い……と、そういう事なのかも知れない。

 だけど、人間達は捕食者では有るが……魔物と面と向かう勇気は無い。

 全員で掛かれば、犠牲は出すが魔物を全滅するくらいの事は出きる筈だ。

 ただ、固まって踏みつけるだけでもだ。

 勇気が有れば……だが。 

 バラバラに逃げれば1対1……それはそのまま魔物の勝ちだ。

 ……そうなるのを待っているのだろうか?


 「武器を取ってきて」

 バルタはネーヴに指示を出す。

 指は何故か客車の上を指していた。


 銃は戦車と一緒で後ろの貨物車両なのに客車?

 首を捻りかけたアマルティアの横でネーヴは頷いて走り出した。

 それにエレンやアンナも合流する。

 素早く客車の天井に登り、そこを後ろの貨物車両の方向に連結部分は飛び越えて走り出した。

 成る程、パニックの客の間を走るよりも早いからかと理解した。

 

 もう一人……客車の天井に登っている者が居た。

 エルだ、下を見渡しながらに指を差している。

 それを辿ればイナとエノ……ムーズやペトラやクリスティナや、戦えない者を守るためか集めているようだ。


 「でも、二人でヤレル?」

 声が聞こえた方を向くと、ヴィーゼが槍を抱えて走ってきていた。

 客車の壁に刺さっていたヤツを引っこ抜いたのだろう。


 「キビシイかもね……」

 魔物の方を確認してバルタはうめく。

 「あと一人……欲しいかな」

 

 「一人か……」

 ヴィーゼはバルタの横に並ぶ様に止まって、考える。

 「ペン太は?」

 クリスティナ達を見付けて側に居たペンギンも見つけたようだ。


 「良いかもしれない」

 頷いたバルタ。


 「単体では弱いけどあの速さは鬱陶しいもんね」

 ヴィーゼもにっこり。

 そして、叫ぶ。

 「ペン太! 手伝って」


 しかし、ペン太はキョトンとしたまま動かない。

 

 「ペン太ってば!」

 もう一度叫んだヴィーゼ。


 それでも首をかしげている。

 こちらを向いているのだから呼ばれている事はわかっている様だが、ナニをすればいいのかわからないそんな風だ。


 「駄目っぽいね」

 バルタは諦めたのか魔物の方を向いた。


 ヴィーゼも仕方無いと方を竦めてバルタに倣う。

 「二人か……」


 「どうせ殲滅は無理だから時間稼ぎよ、なんとかなるでしょう?」


 「ならないと思う」

 そう言って笑うヴィーゼ。

  

 時間稼ぎとは?

 考えたアマルティア。

 貨物車両に走った犬耳三姉妹が銃を取って戻って来るまでか……走って行くあの感じからして数分?

 貨物車両にたどり着くのは早いだろうけど、荷をほどくのに少し手間取るか……。

 まあ……でも……チョッとの時間だ。

 アマルティアも決断した。

 目の前の片手盾を拾い、それを両手で支える。

 大きくは無いが、自分の体には丁度いい。

 「手伝う……」

 ボソリと声にした。


 「お! アマルティアもか! で、武器は?」

 ヴィーゼの声は弾んでいる。

 今の状況を楽しんでいるのか?


 「武器は……コレだけ」

 アマルティアは盾を前に出す。


 「それじゃあ攻撃できないじゃん」


 「私が魔物を押さえ込むから、ヴィーゼが攻撃して」

 私の体は頑丈だ、数十メートル吹き飛ばされて壁に激突しても、痛いくらいですむ。

 私達……山羊の獣人は崖を好んで住む場所にする、だから転げ落ちるのもショッチュウだ。

 私も小さい頃に落ちた記憶がある。

 パトと戦場に居たときも森の中をゴーレム達を率いて走り回った。

 銃で撃たれれば流石の私でも痛いでは済まない、でもゴーレムなら大丈夫だ。少しの土塊を削られるだけ。

 爆風もゴーレムを盾にすれば私なら耐えられる。

 だから、誰よりも前に出られた。

 実際に何度か弾き飛ばされたし、痛い思いもしたが動けないほどでもなかった。

 だから、今回の暴れ熱帯牛や熱帯豚だって耐えられる筈だ。

 榴弾の爆風や戦車砲の弾に弾かれたゴーレムを受け止めた事に比べればだ……止められて居なかったけど……一緒に飛ばされたのだけれど。

 あれよりは絶対にましだ。

 そう頭で考えて必死にやれるんだど自分を鼓舞する。

 盾を掴んだという事は……ほとんど触れる様な位置での対峙に成る。

 鼻息や息遣いも感じられる距離だ。

 その経験が無いので余計に怖い。

 銃や戦車なら離れた位置で、敵の顔すら見えない事も普通なのに……今回は違う。

 

 アマルティアは大きく息を吸い込んで。

 「いきます!」

 腹から声をだして、そのまま突進した。

 狙うは一際大きな一頭の暴れ熱帯牛だ!

 やるなら一番強そうなアイツだ!


 「うおおおおお……」

 叫んで此方に頭を向けさせる。

 下手な角度でぶつかれば横にズレて盾の無い側面をさらしてしまう。

 だが……それは失敗だった。

 相手に反撃の準備をさせてしまった。

 ぶつかった瞬間に真後ろに大きく弾かれてしまった。

 背中から客車にぶつかる。

 軽い体重のせいか飛ばされる距離も派手だ。

 でも、痛いけどまだ全然動ける。

 もう一度盾を構え直して走る。

 今度は叫ばずに、暴れ熱帯牛の頭の角度を見ながらだ。


 ガツンと盾から衝撃を受けた。

 次にシャクってくるのは、さっきのでわかっている……だからできるだけ低く構えた。

 しかし、押してはくるが……飛ばされない。

 

 「そのままで居てよ」

 背後からヴィーゼの声。

 牛もヴィーゼの動きに気を取られて居たのだろう、次の行動が受け身のままだ。


 ヴィーゼは私の前屈みの背中を四つ足で走り登る様に飛び越えて、動きの止めた牛の真上に跳んだ。

 そして、槍を下に向けた状態で牛の背中に着地。

 首の後ろに刺さる槍。

 

 暴れ熱帯牛はたじろいだ。

 力を緩めて後ろに数歩下がる。

 

 私はそれを追いかけて、今一度に盾をブツけた。

 ヨロメイタだけでまだ倒れてはいない……油断は出来ないとの判断だ。


 もう一度、槍を突き刺すヴィーゼ。

 しかし、その二撃が限度だったようで……牛の背から飛び退いた。


 「しつこいな……倒れろよ」

 私の背後に回りつつにブー垂れている。


 「もう一度よ」

 私はヴィーゼに聞かせる様にして、自分にも言い聞かせる。


 と、牛のお尻がヨジレてヘタリ込んだ。

 バルタが牛の後ろ足を剣で殴ったのだ……切ったのでは無い、平らな面で横殴りにしたのだ。まるで剣をスコップの様な扱いで。


 「バルタって剣のスキルとか持ってるわけじゃあないのね」

 わたしは驚いて声をあげる。

 牛を押さえる手はもう一段力を加える事は忘れずにだ。

 

 「そんなの持ってるわけないじゃん」

 ヴィーゼは笑いながらに答えて、自分の頭上で槍を回転させて飛び上がる。

 「私だって槍のスキルは無いもん」

 

 「うそー」

 そんな筈は無いでしょうに……と声がでた。

 上や横でクルクル槍が回ってるじゃん……それですきるが無いってあり得ない。


 「嘘着いてどうすんのよ」

 力強く叫んだのは、牛に槍を刺す力を込めたためだった。

 今度は今まで依りも深く突き刺さる。

 

 牛の力がまた緩んだ。

 それと同時にバルタが音もなくに牛の横に現れる。

 今度は叩かずに突いたようだ、剣先が牛の首に刺さっていた。


 牛の力はそれでなくなった。

 倒れたわけでは無い、息遣いはまだ感じられる。

 しかし、戦意は確実にへし折った様だ。

 もう、立とうともしなくなっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ