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ファウストの子供達  作者: 喜右衛門
221/233

220 アリ?

72ポイントに成ってる!


応援ありがとう。

メチャうれしい。


ポイントは貰えるとほんとに嬉しい。


 クリスティナの鳥達の索敵によると、荒野のフィールドは一辺が10km程の真四角だった。

 そして、アリ達の集団はここの端っコから5km……つまりはど真ん中だ。


 「完全に……造られた空間ね」

 マリーは大きく頷いた。

 「自然に出来たにしては綺麗過ぎるわ」


 その意見には賛成だとアマルティアも思う。

 「でさ……他に目だったモノはない?」


 「目だつって?」

 クリスティナが聞き返した。

 

 「例えば……小屋とか家とか、部屋に成りそうなモノ」

 アマルティアはもう少し考えて。

 「囲いの様なモノでも」


 「あとは階段とか洞窟ね」

 マリーが付け足す。

 

 「まだ先が有るって事?」

 アマルティアはマリーを見た。


 「かも知れない……無いかも知れない」

 小さく肩を竦めた。

 可能性として、ここが造られた空間でダンジョンの様なモノなら、それを造ったのは初代ペトラ。

 その知識を与えたのは転生者のパト。

 なら、ダンジョンはゲームの様な形かも知れない。

 中学生だったか高校生だったか……学校の男の子達がそんな話をしていたと思う、ファミコンだっけ?

 私はやらなかったけど、聞いた記憶ではダンジョンはそんな感じだ。


 ただわからないのは、ペトラの部屋に行くまでにそんなダンジョンに意味は有るのだろうか?

 侵入者避け?

 それならドラゴンのゴーレムが居た。

 だいたい誰が侵入するの?

 この先にお宝でも有るのだろうか?

 死んでから一時的に帰る場所に……そんなモノを置く?

 それに魔物もわからない……場所を守らせるには弱すぎると思う。

 「アリは強いのだろうか?」

 首を捻ったマリー。


 「わかんないけど……接触は試みるべきかな?」

 ゴーレム・エルが手を上げた。

 そして、ペトラを手招き。

 「後ろに乗って」

 クモゴーレムの後ろだ。

 自身は背負っていたランドセルを下ろして、アマルティアに投げた。

 「偵察に行きましょう」


 「私も?」

 ペトラは驚いた顔で自分を指差す。


 「ペトラが声を掛けないと、相手もわからないのでしょう? 眷族の場合はだけれど」

 ゴーレム・エルは早く早くと急かした。


 「危なくない?」

 アマルティアはゴーレム・エルの投げたランドセルを受け止めて聞いた。


 「大丈夫よ」

 ゴーレム・エルはチラリとゴーレム・バルタとゴーレム・ヴィーゼを見た。

 「二人が前に立ってくれるわ」


 「そうね、最初に攻撃は受けるわ」

 頷いたゴーレム・バルタ。

 「アリに戦車砲は持ってないだろうから……致命傷には成らないだろうし」


 「魔法か何かが有ったりして」

 ゴーレム・ヴィーゼが笑う。


 「それでも核が壊れなければ……修繕出来るんでしょう?」

 ゴーレム・バルタはペトラを見た。


 ペトラはマリーを見る。

 そうなのよね? っと、そんな顔で。


 「そうね……直せるでしょうね。核さえ無事ならね」

 大きく頷いた。


 「なら行こう」

 ゴーレム・バルタは頷いた。

 「その間にクリスティナは索敵ね」

 その言葉を残して走り始めた。


 

 

 アリの集団はすぐに見付けられた。

 何も無い荒野……高低差も少ない場所だ見張らしも良い。


 「このまま止まらずに近付くわよ」

 ゴーレム・エルは先行する二人に向けて叫んだ。

 「ペトラの声が届きそうな所で一旦止まるから」

 ……。

 「返事が無いわね」

 少し心配に為ったゴーレム・エルは後ろを確認。

 そこにはしっかりとペトラも居る。

 もちろん腰に回した手の感覚も有ったので居ることはわかっていた。

 だけど、顔が……。

 ギッと真一文字に閉じられた口に見開かれた目の焦点はあっていない。

 とにかく落ちないようにと必死なのか?

 たしかにクモゴーレムの速度は速い、目一杯で走れば時速200kmは越える。

 でも八本足なので、どんなに速く走っても必ず一本の足は地面に着いている。

 それは上下の揺れが殆ど無いと言う事なのだけれど……そんなに恐いか?

 まあ、ペトラの乗っていたダックス125は時速90kmは越えないし。

 ロバ車はもっと遅い。

 そう言えば速くなったルノーftには乗った事があるのだろうか? あれも

時速100kmは越えないけど。

 ふむ……どちらにしても100km越えは初体験か。

 この速度、柔らかい砂の地面でも落ちたら死ぬものね……普通は。

 運が良ければ大ケガくらいで済むかな? 布のペラペラのセーラー服だとビリビリで肌もズタズタで肉まで削られそうだ。

 うーん……そりゃ、恐いか。

 でも、今の速度は落とせないよ。

 アリが、もし敵だとわかれば……もっと速度を出して逃げるからね。

 「漏らさないでね」

 ほんとは落ちないでねと言いたいが、さらに恐がらせても仕方がないので……笑える様にして聞いてみた。

 だが……ペトラは真顔でブンブンと首を縦に振っていた。

 冗談も聞けない状態らしい。


 「動くな!」

 前方でゴーレム・ヴィーゼの叫びが聞こえた。

 適当に話をしていても速度が速いから進む距離も大きい。

 もう前の二人はアリの前に居た。

 

 その後ろに停まったゴーレム・エル。

 背中のペトラを肘で突く。

 ……。

 「いや、声に出してよ」

 もう一度、肘でペトラに催促。


 は! っとした顔で。

 「動かないで……」

 ペトラの声は裏返り、しかも尻すぼみだ。

 

 「ギギギギ……」

 アリが返事を返した。

 

 「お? 話が通じる?」

 ゴーレム・ヴィーゼが驚いて居ると……すぐ手前のアリが、手に持った槍を投げ付けた。

 カン! と、音を立てて跳ね返る槍。

 それを素早くキャッチしたゴーレム・ヴィーゼ。

 受け止めた槍を見て。

 「攻撃されたね」

 視線を槍先にも這わすと。

 「毒も塗ってあるね」

 槍先に滑りの有る液体が塗られていた。


 「逃げて!」

 ゴーレム・バルタが後ろに指示。

 そして、無線を取って。

 「エル! 砲撃して……敵よ」


 「了解!」

 返事はゴーレム・エルとオリジナル・エルの両方、同時だった。


 

 オリジナル・エルは無線の声を聞いてすぐに引き金を引いた。

 ドン! と、響く砲撃音。

 砲弾は天高く昇って放物線を描くようにして5km先に落下。

 

 逃げ始めたゴーレム三人の後方……アリの集団のど真ん中に着弾した。

 ドカン! と音と弾ける地面。

 巻き込まれたアリも体をバラバラにして宙を舞う。


 すぐさま二発目も飛んでくる。

 「相変わらずに正確!」

 ゴーレム・ヴィーゼは感心していた。

 

 「おかげで近くに寄れるのよ」

 ゴーレム・バルタも頷いている。

 

 「左右にズレて」

 無線からの声……今度はバルタだ。

 

 ルノーftから撃つ積もりらしい。

 遮蔽物の無い直線だから、放物線も低いのだろう。

 真っ直ぐ戻ればその射線に乗るのかな?

 でも、5kmなのだからたぶん頭の上を通る筈だけれど。

 そんな事を考えながらに右にズレる様に進路をとったゴーレム・エル。


 ギャン! 砲の筒が鳴く様に響く。

 

 「鉄甲弾なんて……効くのかな?」

 ゴーレム・エルは首を傾げた。

 アリの身長は150cmほどで二本足で立っている。

 太ったヤツも居たけど、殆どは痩せていた。

 槍と言う道具も使い、何かの皮かで簡単な服の様なモノも作って着ていた。

 そんなだから的は小さいし……たぶん普通に柔らかいはずだ、でないと服の意味がわからない。

 何を狙ったのかと振り向いた。

 そこにはデッカイやつが居た。

 普通のアリのように地面に六本足で歩いている大きなヤツ。

 サイズは横になるけど6mは有りそうだ。

 「なにあれ?」

 

 「女王アリじゃない?」

 ゴーレム・ヴィーゼが後ろから答えた。


 「なるほど」

 頷いたゴーレム・エル。


 その女王アリの頭がルノーftの鉄甲弾で吹き飛ばされていた。

 

 「バラけたわよ!」

 ゴーレム・バルタが急停止して……ユーターン。

 「個別に殲滅するわよ!」

 

 「りょうかい」

 ゴーレム・ヴィーゼも後ろに続く。

 

 同じ様に返事を返した犬耳三姉妹もバイクで突撃をしてきた。

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