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ファウストの子供達  作者: 喜右衛門
132/233

131 ペトラ覚醒?


 クモの持つ瞬発力とゴーレムの持久力が合わさって、しかもパワーの源はゴーレム・ヴィーゼ。

 それらの相乗効果でスゴイ事に成っていた。


 一通りの事を試したゴーレム・ヴィーゼが戻ってきて。

 「最高速は疲れるね……燃費が悪すぎるよ」

 顔は笑っている。


 「疲れる……だけ?」

 アマルティアは呆然と問うた。


 「そうだね……数時間で私がダウンしそうかな?」

 

 「それでも数時間は大丈夫って事ね」

 

 「半分の速度でも……ちょっとクル感じ? 数日が限界かな?」


 「なら……半分の半分は?」


 「それなら何時までも大丈夫そう」


 「燃費なのか? それともヴィーゼの抱えている容量が多いのか?」

 わけがわからずに悩みだしたアマルティア。


 「両方じゃないの?」

 マリーがそれに答えを出す。

 「ムチャクチャ高価な魔石を飲み込むのだし」

 ゴーレム・ヴィーゼを指差している。

 「純度の高いヤツを一口でね」


 「まあ何でも良いけど」

 ニコニコとしていたゴーレム・ヴィーゼがアマルティアに笑顔で御礼。

 「有り難う! これ気に入ったよ」


 「……どういたしまして」

 作った本人の能力では無くて、乗り手の能力で底上げされている感じでイマイチ胸を張れないアマルティアは小さく呟いた。


 「ねえ……私にも作ってよ」

 当然の様にゴーレム・エルが頼む。

 あの性能を見ればそれは欲しく成るのだろう。

 もちろんその後ろにはゴーレム・バルタも居た。


 


 「流石に疲れた」

 額の汗をぬぐったアマルティア。


 三体のクモ型ゴーレムは既に各々が試して走り回っていた。

 あまりハシャが無いゴーレム・バルタもニコニコとして爆走中。


 「でも、あの大きさじゃあ」

 マリーは壊れたバモスを見て溜め息。

 「引っ張るが精々かな」


 「もしかして担がせる気だったの?」

 ユックリと首を振ったアマルティア。

 「大きさはアレが限界よ」


 「ねえ……あれって私では造れないかな?」

 そこにやって来たのはペトラだった。

 「なんか……造れそうな気がするの」


 「そんなに簡単じゃあ無いけど……やってみたいなら教えるけど?」

 アマルティアは眉を寄せている。

 随分と修行が必要だよと言いたいらしい。


 「出来る気がするの?」

 マリーはペトラに確認した。


 頷くペトラ。


 「なら、やって見せて」

 マリーはアマルティアの描いた魔方陣を指差してペトラを即した。


 「そんなイキナリは無理だと思うよ」

 アマルティアは失敗するのを前提にフォローを入れいている。

 

 「いえ……もしかしたら」

 マリーは目を細めて顎に指を当てながらに考え込んで居た。


 「まあ……取り合えず準備はやってあげるけど」

 アマルティアは首を傾げながらに、ゴーレム兵に土塊を持ってこさせる。


 「もっとイッパイ欲しいだけど」

 ペトラは遠慮せずにお願い。


 「幾つ作る積もり?」

 アマルティアは笑いながらに頷いた。

 失敗を前提に練習するのだろう。


 「兎に角ドンドン積んで」

 ペトラはゴーレム兵に直接指示していた。


 てんこ盛りに盛られた土塊。

 もはや魔方陣も埋まって見えもしない状態。

 そして、ペトラはその前に仁王立ち。

 目を瞑りイメージを固めて居るのだろう……の百面相の後に変な踊りを始めた。

 「ココをこうして……ココはこう」

 ブツブツと唱えて居るのは呪文では無くて形の修正だろう、それを体全身でやっているので踊りにしか見えない。

 

 「いや……呪文も必要だから」

 思わず笑ってしまったアマルティアだが……スグに笑いがヒキツル事に成る。


 土塊は呪文も無しに形を変え始めた。

 ウネウネと粘土を捏ねる様に1つに成り。

 そして、次第に形を現してくる。

 

 「うそ……」

 驚愕のアマルティア。


 目の前には巨大なクモが出来ていた。

 胴体だけでも10m近いソレ。

 手足を伸ばせばどれだけの大きさだ?


 そして……起動もさせずに動き出した。


 「なんで?」

 呆けているアマルティアにマリーが言った。

 「本来の能力が解放されたか……されかかっているか、ね」


 「なにそれ……」


 「ペトラは大元はドラゴンと同じで……しかもこの世界を造ったソノモノだから。これくらいは出来て当然だと思う」

 マリーは淡々と説明した。

 「人の形に成っている今はソレが制限されているだけで……」

 少し考えながらに続けて。

 「もしかしたら……ドラゴンが干渉したからその制限が緩く成っているかも……かな?」


 「じゃあ私が造ったゴーレム兵も造れるってこと?」

 完全に脱力したアマルティア。

 ここまでに成るのに相当に努力したのに……って、感じなのだろう。


 「やって見せて貰えば?」

 マリーにもそれが出来るかはわからないとそんな様子だ。


 アマルティアは未だに変な躍りを続けていたペトラの肩を叩いた。

 「もう出来ているから」

 そして目を開けたペトラに大きなクモのゴーレムを指差した。

 既に勝手に動いてそこらをウロウロとしていたソレ。


 「うおっ!」

 変な声と動きで驚きを表したペトラに。

 「今度は普通のゴーレムを造ってみて」


 ゴーレム兵に土塊を用意させている。


 「普通ってこんな感じの?」

 ペトラはそのゴーレム兵を指差した。


 頷いたアマルティア。


 少し首を捻るも……一応は頷いたペトラはもう一度、変な躍りを始めた。

 みるみると形を変える土塊。

 そして出来上がったのは……人形のゴーレムでは無くて、ナキウサギの型だった。

 

 「あれ?」

 首を捻るペトラ。

 「もう一度いい?」


 そのナキウサギのゴーレムを魔方陣の真ん中に立たせて……変な踊り。

 ……。

 ガラガラヘビに成った。

 

 頭を抱えたペトラ。

 「泣きのもう一回!」

 

 クモ。


 やり直してナキウサギからのヘビに……やっぱりクモ。


 何度やり直しても、その三つの何れかにしかなら無い。


 「ふむ……自分が使役したモノしか造れない?」

 マリーは顎に手を当てて首を傾げての分析。

 「人形を造ろうとするなら……人を奴隷に使役しないとダメって感じ?」


 「えええ……そうなの?」

 ガックリと項垂れたペトラだった。

 「奴隷だなんて、持ちたくないよ」

 

 「今はそれは違法だしね」

 頷いたマリーは少し離れたアンを指差した。

 「おもいっきり逮捕されるかもね」


 「でもさ……チート過ぎる気がする」

 へこんで居たアマルティアが呟いた。

 「限定されて居るにしても……出来るものが高性能過ぎだよ」


 「そうね……」

 マリーはアマルティアのクモのゴーレムを見ていた。

 「もしかすると、あれも補正とかブーストとかが掛かっているのかもね」


 目線を辿って更にへこむアマルティア。

 「あれは私の実力じゃないって事?」


 「ゴーレム・バルタ達も……ペトラの影響で暴走した可能性が有ると思う」

 頷いたマリー。

 「いくらネクロマンサーでも……あれは無いだろうしね」


 まあ……確かに有り得ない程の規格外だ。

 人間をコピーして、ソレをゴーレム化だなんて。

 「結局……ペトラが規格外って事なのね」


 「まあ……世界を造った神様みたいなモノだしね」

 ふうぅっと息を吐く。

 「今度は転生魔法もやらせてみようかしら……それほど難しいものでも無いのだけれどね」


 「神様ならヤッパリ簡単なんでしょうね」

 へこむ事も諦めたアマルティアの溜め息と共に漏らす。


 「制限の解除の範囲がわからないからヤヤコシイけどね」

 そして……少し笑って。

 「だいぶバカだし」


 「バカって……多少、抜けた所が有るだけよ」

 アマルティアは微妙な庇い方をした。

 そう思って居たのだから仕方無い。


 未だに三種のゴーレムを造っては壊しのペトラの肩を叩いて。

 「それ、土塊に戻してくれない? ペトラはもういいから……私が別のを造るわ」


 ガックリと肩を落としたペトラはスゴスゴとその場を離れる。

 そのさい、本の少し指を動かしただけで、ゴーレムは崩れて土に戻っていた。


 ソレをみたアマルティアは自分が出来る最大の溜め息を着く。

 「規格外過ぎ……」

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