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其の九十四…『怪談小豆夜話:『仏間の涙』と『天井から垂れてくるもの』と『金沢東山牡丹燈籠』』

 また『前回』からの続きで『天性の魅力を持つ老女:小豆さん』の家に集まった人たちが始めた『怪談座談会』で話された『諸怪奇談』を紹介していくが、『今回』は『第一回目の座談会』の『一週間後』に開催された『二回目』で語られた話を述べていきたい。



 ちなみにこの『第二回目』が始まる前に『ノナさん』や『尼御前さん(小豆さん家でできた友達)』たちは『小豆さんの家』に沢山の『人形』が『差出人不明』で送り届けられていたことを知ったそうで、



『え、こんなに大量に?? しかも全部『誰が送ってきたかわからない』んですか??』と『ノナさん』


『そうなよ~! でもこの家は『広い』から思い切って『部屋の一つ』を『人形部屋』にしちゃったの♪ 一緒に『仏壇』もおいたから『仏間』って呼んだ方がいいかしら? 賑やかで楽しいわよね~♪』と『小豆さん』


『…………なんかこの『仏間』変な匂いしない?? 妙に『磯臭い』し……人形腐ってんじゃないの??(困惑)』と『尼御前さん』


『『人形』が腐るわけないじゃんw あ、それとも人形の髪に『人毛』が使われてるとか??』と『ノナさん』


『あの『人形』は『人毛』が使われてるわよ~(笑顔)』と『小豆さん』


『『本当にあるんだ……』』と『ノナさん』&『尼御前さん』


『でも『磯臭い』のは謎ね~、普通『人間の髪』は腐ってもそんな匂いはしないわよ~?』



 この話の詳細は『其の九十一』を読んでもらえばわかるためここでは『割愛』するが、その『小豆さん』の『仏間(人形部屋)』を外の廊下からのぞき込んでいた『尼御前さん』がしばらくすると、なぜか急に『泣き始めた』のだそうだ。



『え? え?? なになに?? なんで泣いてるの???』と『ノナさん』


『あらあらどうしたの?? 何か悲しいことでもあったの??』と『小豆さん』


 問われた『尼御前さん』自身は『びっくりした顔』で自分の目から滴り落ちた『水』を見て、『きゅう』と絞まろうとする口を必死に開きながら、



『…………え、ぐす、な、なんで?? なんで『涙』が…………なんでよぉ……止まらないよぉ……!』



 彼女はそう言ってからもう『声にならない声』で泣き出してしまい、『ノナさん』は『あまりの突拍子のなさ』にただひたすら『呆然』とする。一方『小豆さん』は手慣れた様子で『尼御前さん』の肩を抱き、背中をさすりながらその場から連れ出したそうだ。


『大丈夫よ、おちついて? 『皆』は『ここ』に来れてもう『安心』していいし、『私』がここを守っているから『安全』だわ。だから『笑って』ほしいの。そんな悲しい『涙』は見せないで、ね?』と『小豆さん』


『ふえぇん……ありがとうございます……』と『尼御前さん』


『いったい二人は何の話をしてるの??』と『ノナさん』



 その後『居間』に移動すると『尼御前さん』は泣き止み、



『…………なんで私泣いてたんだろう……別に全然悲しくなかったんだけど……』



 不思議そうに首をひねっていたという。





 さて、そんなことが『怪談座談会』が始まる『前』に起ったのですでに『ノナさん』は『なんじゃこりゃ??』になっていたらしい。そのまま『他のメンバー』も集まってきてそのまま『居間』で『第二回目』が始まり、最初に話し出したのは『明日香さん』という『20代後半の女性』だったそうだ。彼女は『小豆さんの大甥たかしさんの会社の後輩』だそうである(どんな経緯でここで来たのだろうか?)。



『……この話の始まりは『私自身』が『大学時代』に『体験』と言うか、『目撃』した話です。あれは『私』が『女友達』の家に遊びに行って、『私を含めた四人』で『宅飲み』した時ですね……』と『明日香さん』



 彼女は『京都の大学』に入学して『一人暮らし』していて、同じ大学に通う『愛知県から来た友達』の『アパート』で『宅飲み』をしていたらしい。そして『宴もたけなわ』というか、其れなりに飲んで『酔い』が回って気持ちいい状態で『他愛もない笑い話』で盛り上がっていた時だったという。『友達の唯さん』が『口を半開き』にした状態で『天井』を見上げていることに気づいた『明日香さん』もその視線を追うと、




 天井に『ハエトリグモ』が大量に集まっていて『黒い塊』になっているのを発見したらしい。




『…………ひぃ!?』と『明日香さん』




 しかもその『ハエトリグモ』の一匹が『唯さん』の『半開きの口』に『飛び込んだ』のが見えたという。そして『唯さん』は『蜘蛛』を飲み込んだ後『うげぇ!』と叫んで、


『うわ! さいあく!! 蜘蛛飲んじゃったんだけど!!』と『唯さん』


『『『えぇ!? キモ! 吐きそうなんだけど!』』』と『みんな』


『なんで私がキモがられてんだよ!! 被害者なんですけどぉおおおお!?』


 

 だがもちろん『唯さん』には『何か体調の変化』とかがあったわけでもなく、しばらく『仲間内』で『ジョーク』で『唯は酔って蜘蛛食ったw』という『いじりネタ』がちょっとだけ流行ったらしい。だがそれもすぐに飽きられ忘れられたある日のこと、今度は『明日香さん』の家で『宅飲み』をすることになり、以前の『唯さん』を含めた『いつもの四人』で飲んでいたそうだ。



 そして『唯さん』が酔いが回ってその場でテーブルに突っ伏して『居眠り』を始めたらしい。残り二人の『友達』は『名剣乱舞』という『ソシャゲ』の画面を開いて『ガチャ』を回しながら『悲鳴』を上げていたそうで、一方『明日香さん』は一人で『ちびちび』と酎ハイを片手に『サキイカ』を無心に噛んでいたそうだ。



(…………唯が無防備で寝てると無性に『いたずら』したくなるんだよね~w 私の悪い癖だww)と『明日香さん』



 彼女が『唯の寝顔撮っととこw』と突発的に『いたずら心』をおこして『スマホのカメラ』を向けると、『唯さん』の『口』から一匹の『蜘蛛』が『飛び出して』きたのである。



『…………は?』と『明日香さん』



 その『蜘蛛』は『タランチュラ』と思われる『巨大でふさふさの毛』に覆われた蜘蛛で、恐らく『威嚇』と思われる『前足をあげる』所作を『明日香さん』に向かって行う。『明日香さん』は『唖然』としたまま『動画』を回していて、その『蜘蛛』はしばらくすると『唯さん』の『口の中』に戻ったという。



『ちょ、ちょっと! 唯起きろ!! 大丈夫なの!?』と『明日香さん』


『ふあ……?(起きた)何なの一体……(不機嫌)』と『唯さん』



 もちろん『今とったばかりの動画』を見せたのだが、『唯さん』はなんだか『薄い反応』で、


『ほ~ん。こりゃあ大変だねぇ……(目をこする)』


『おいいいいい!! なんだよそのうっすい反応!? 自分の体の中に『蜘蛛』がいるんだよ!? しかもなんか『でっかい』んだよ!? なんでそんなに『どうでもいい』みたいな態度なわけ!?』と『明日香さん』


『…………実は最近『変な夢』を見るんだよね。内容は『私のお腹の中に蜘蛛が住んでいて、そいつがたまに『出てくる』んだけど、出てくるたびに『あたしを追い出したいんでしょ。でも無理だよ、なぜならあんたはもうあたしに『食われて』いて、『あたし』が出て行くとあんたも『心臓が止まっちゃう』からね。だから『生きた人間』で居たかったら『あたし』と『共生』しなさい』って『忠告』してくるんだよ……だから『明日香の動画』を見ても別に驚かなかったよ……』



『は、はぁ?? あんた何言ってんの?? 寝ぼけてんの??』


『寝ぼけてるよぉ、寝てるときにたたき起こされたんだもん~(ブーブー)』




 そこまで『明日香さん』が語ってから、なぜか『一分』ほど沈黙する。



 ………………、




 なので同席していた『ノナさんのお爺さん』がしびれを切らして、


『…………おいどうした? なぜ黙る? 話はそれで終わりか?』



 すると『明日香さん』がなぜか『自嘲気味』になって、



『…………実はその後何度も『唯』と『飲み会』をしてたんですが、そのたびあの子が『居眠り』するとは『口から蜘蛛』が出て来てたんです。最初は『デカいタランチュラ一匹』だったんですが、次の時は『タランチュラ一匹にハエトリグモ二匹』がでてきまして、その次の時は『タランチュラ二匹とハエトリグモ三匹』になってました………そんな感じが『大学卒業後』も何年も続き、ついに『私』はそれを見て『怖かった』といいますか、『好奇心に負けた』といいますか、思い切って『蜘蛛』が『口』から出てきたタイミングを見計らって『唯の口を手で塞いで』しまったんです……それが『三日前』でした』



 すると『唯さんの口』に戻れないと見た瞬間、『蜘蛛』はすぐに『逃げて』みえなくなってしまったそうだ。同席していた『友達』は『物陰』を入念に調べたが結局『蜘蛛』は見つけられず、



『…………それで?』と『ノナさん祖父』


『『蜘蛛』は結局見つからず、『唯』もあれから一度も『目覚めて』ません。今は『病院』に運ばれてますが、『医者さん』から『ダイエットのし過ぎで糖尿病になってて、そのせいで脳の血管が詰まってる』って言われました。今日『手術』らしいので今頃そろそろ始まってるはずです……『唯』が『糖尿病』だったなんて初めて知りましたよ……私の話は以上です』と『明日香さん』



 彼女は『この話がどうしてもしたくて』とだけ言い残して『唯さんの病院』へ行くと出て行ったそうだ。ただただ『他のメンバー』は『ぽかん』として見送ることしかできなかったらしい。




 そして『明日香さん』と『入れ替わる』ようにして『新しい参加者』が『怪談座談会』に参加したらしい。その名前は『山岡さん』という『四十代の個人経営の鮮魚店』を経営している男性で、もともとは『輪島』在住だったが『金沢』に家族丸ごと移住してこっちで『お店』を開いたそうだ(その経緯は語らずとも皆が理解できた)。



『あらまぁ、苦労したでしょう? 大変でしたわねぇ……(心配)』と『小豆さん』



『ありがとうございます。ですが自分は『金沢』に出て来てから『知り合いのつて』のおかげで『東山』のあたりのお店と『取引』させてもらってまして、大変ありがたい話なんです。大変ありがたい話なんですが……その『東山』では最近『ある噂』がささやかれていることを皆さんご存じですか……?』と『山岡さん』




『東山』はおそらく『ひがし茶屋街』と呼んだ方がいいかもしれない、『金沢』を代表する観光地区の一つである。『北陸新幹線』開業前から観光客が多い地域だったが、開業後は『平日』だろうが『オフシーズン』だろうが関係なく『観光客』だらけだ。その『観光客』受けを狙った『オシャレなカフェ』や『レストラン』があるので『地元民』にとっても『デートコース』に最適な地域の一つである。なんといっても『歩いて楽しい町』かつ『店が多い』というのが『良き』。最近は『富山』から『有名なハンバーガー屋』が出店したりして、なので余計に人が多い(汗)。




 だが一方で『夜』というか『夕食時』をすぎた時刻になると『東山』はいっきに『静か』になる。『夜のお店』が集まる街ではないからだ。だがその『東山』の『深夜』の時間帯が『最近』はにわかに『騒がしく』なっているらしい。



『『騒がしくなってる』らしい?? それはどういう意味なんです??』と『尼御前さん』



『…………いつ頃からでしょうか? 『新幹線』が開業した後であることは確実だそうですが、『東山』のあたりで『深夜』になると『化け物』が出没するようになったそうなんです……『提灯』をもって『着物姿』の『三人組』がたくさんの人たちを『襲う』ようになりまして……』と『山岡さん』



 その『化け物』とは一見遠目からみると『着物姿の三人組』で、『一人の女』が『赤い提灯』を手に持って前を歩き、その後ろに『手をつないだ二人の男女』がついてくるそうだ。本当にこの『三人組』は『提灯』に灯りをともして『夜のひがし茶屋街』を『歩いている』だけなのだそうだが、この姿を『視界』に入れただけで『病気』になってしまうのだという。



『びょ、病気ですか?? 『高熱』が出るとか?』と『ノナさん』


『はい。目撃者は一人の例外なく『40度の高熱』にうなされ、『肺炎』で『入院』を余儀なくされるんです。私も最初『取引先の料亭の女将』から『真顔』でこの話をされた時は『質の悪い冗談』かと思いましたが、実際に『化け物討伐隊』に参加して目の前で『大の男五人』が『救急車』に運ばれたのを見せれては信じないわけにはいきませんでした………』と『山岡さん』


『『『ば、化け物討伐隊??』』』と『皆』



『怪談』にはある種『場違いな言葉』に皆が注目する。そして『山岡さん』が『ああ、『化け物討伐隊』とは………』と説明しようとして、




 ダンダンダン!!!




 いきなり『天井』から『大きな音』が聞こえてきて『家全体』が揺れた。その『音』を『ノナさん』は『沢山の人が屋根で足踏みした』ように思ったそうだが、他の人たちは『壁を誰かが叩いた』と思い、また別の人は『誰かがすぐ近くで太鼓を何個も一斉に叩いた』とおもったらしい。



『…………』と『山岡さん』



 とにかく『大きな音』がして、なぜか『山岡さん』は口をつぐんで何も話さなくなってしまったのだ。なので『小豆さん』が、



『どうしたの? 話せなくなったの?』


『…………すみません………』と『山岡さん』


『そうなの(笑顔)。なら話さなくていいわ。もう少しいる? それとも帰るのかしら?』


『そ、そろそろ帰らせて………(天井を見上げて)……や、やっぱりもうすこしここに居させてください………まだ帰りたくないです……』



 彼はそういったきり、『自分の話は終わりです』とだけ述べて『部屋の隅っこ』に移動してそこで縮こまってしまったのだった。結局それ以降は本当に何も話さなくなったので、『次の人』の話に移ったらしい。



『…………その『東山』の話は『俺』も知ってます。なのでその話に『関係ある話』をしようと思います………皆さんは『氷室麗華さん』を御存じですか?』



 この話は次に続く。

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